第8話
作:薊(超芝村的制作委員会)



1 全員集合


ぼくたちは少しの(?)不安を抱いたまま、試合当日を迎えた

ぼくは、流花・綾乃ちゃん・弥生ちゃんと一緒に学校の裏門へ行った

そこには既に神楽ちゃん・すみれちゃん・美奈子ちゃんが待っていて、ぼくたちに気付くと、

「おーう、来たか〜」

神楽ちゃんが、やる気のない声をあげた

「ごめんね、待たせちゃって・・・」

と、綾乃ちゃん

「だいじょうぶ、私達もさっき来たばかりだし・・・・」

一人苦笑いしている、すみれちゃん

どうしたんだろう?・・・・待っている間に、なにかあったのかな?

「いよいよお姉さまと試合できるんですね〜」

ヒラヒラの・・・ゴスロリっていうんだっけ?・・・・・とにかくそんなドレスの美奈子ちゃんが、神楽ちゃんに抱きついた

「だからやめろってー!」

嫌がる神楽ちゃん

そして、強引に美奈子ちゃんを突き放した

「あ〜ん・・・」

「あ・・あはは・・・」

「美奈子ちゃん・・・・よっぽど神楽ちゃん気に入ってるんだね・・・・」

苦笑いする弥生ちゃんと、流花

そして、汗ジトで見るぼくと綾乃ちゃん

やっぱり、この娘の参加を認めたのはまずかったかな・・・・・

「と・・・とりあえず、中に入ろうか?」

ぼくは、みんなに言うと・・・そのまま裏門から中へと歩き出した

そして、ぼくの後ろからみんなが続く

ちなみに、学校の敷地内に入ったときから既に、奈々子さんの領域に入っていて、ぼくらの姿は他の人には見えていない

だから、だれかに見られることも無い

「みんなーこっちよー」

奈々子さんが体育館前で、手を振っていた


「あら?、あたらしいメンバー?」

美奈子ちゃんを見た奈々子さんが訊いてきた

すると、

「そうなんですぅ〜! 今日からお世話になる『四条美奈子』ですぅ〜〜! よろしくおねがいしまーす!」

と、神楽ちゃんに対するみたいな声を出した

「よろしくね美奈子ちゃん、わたしは城ノ内奈々子 この学校の三年よ」

と、奈々子さん

たしかに・・・・・十年前に・・・・・それも生前にね・・・・

「はい、すみれちゃんからきいてますぅ〜」

なんだ、知ってたのか・・それじゃ、紹介はいらないな

「それじゃ、早く準備しましょうよ」

と綾乃ちゃん

「大丈夫、もう済ませたから」

奈々子さんが、得意げに言う

「え?、もう!?」

「早いですね」

驚く流花と、弥生ちゃん

奈々子さんは幽霊だからね〜

でも、みんな奈々子さんが幽霊だと知ったら、どうなるだろう?


2 トーナメント抽選会



中に入ると、奈々子さんの言うとおりにすでにリングなど出来上がっていた

「それじゃ、みんな着替えてね」

と、綾乃ちゃん

ぼくは、一人トイレに行くけど、他のみんなは

「美奈、お姉さまの着替え手伝いますぅ〜」

「やめろー!」

などと、騒ぎながら用具室へ行った

そして、約十分後にぼくと他のみんなが着替え終わってジャージで出てくる

そして奈々子さんが、外で待っていたすみれちゃんに

「すみれちゃん、組み合わせできてるでしょ?」

「あ・・・それなんですけど、やっぱりくじ引きにしませんか?」

じ?

みんなの声がハモッた

「うん・・・・・私が決めるよりも、くじの方が・・・・公正に・・・・」

すみれちゃんが、おどおどしながら言う

たしかに、その方が不正もないだろうし、楽しみも増すね

「私、それでいいです」

「流花もー」

「私も構わないけど」

「いいわよ」

「ぼくも」

弥生ちゃん・流花・綾乃ちゃん・奈々子さん・ぼくという順番で、OKする

そして、神楽ちゃんは・・・・

「・・・・・・・ま・・・まあ・・・みんながいいって言うなら、あたしだって構わないけど・・・」

渋々といった感じで、了承した

「ミナは〜〜全然OKですぅ〜〜」

美奈子ちゃんも、問題ないか

「で、紙に書いてやるの?」

奈々子さんが、すみれちゃんに聞く

「え・・あ・・・一応、用意してきたんで・・・・・」

そう言いながら、大きなトートバックの中から箱を取り出した

「この中に、番号の書かれたボールが入っています・・・・・同じ番号だった人同士で試合をする形で・・・・・」

「なるほど、ボールの番号がそのまま試合順にもなってるんだ」

「面白そうだね」

と、ぼくと流花

すると、

「なんだっていいよ・・・・あたしから引くよ」

すみれちゃんの目の前にいた神楽ちゃんがそう言って、箱の中に手を入れた

そして、すぐにボールを取り出し、ぼく達に見せた

1と書いてあった

「それじゃ、次はミナが引きますぅ〜〜」

そう言って、箱に手を突っ込んでガサガサさせる

数秒後に取り出したけど、その番号が・・・・・・

「ゲゲッ!?」

神楽ちゃんの顔が青くなり、

「やったーーーー!!」

美奈子ちゃんが破顔する

「1・・・・番・・・・・」

つまり、神楽ちゃんと美奈子ちゃんが一回戦第一試合をするってことに・・・・・

「まさか、いきなりこの対決なんて・・・・・」

綾乃ちゃんが、苦笑い

「ちょっとまてーー!、これは無しだ!!やり直しだーーー!!」

怒る神楽ちゃんは、すみれちゃんに掴み掛かろうとする

「え・・・あ・・・・・その・・・あの・・・・・」

あせるすみれちゃん

「まあまあ、神楽さん・・・落ち着いて・・」

「そうよー、せっかくすみれちゃんが決めてくれたんだから、文句言わないの!」

弥生ちゃんと綾乃ちゃんが、神楽ちゃんを取り押さえた

「そうですよ〜〜〜、これも何かの縁ですぅ〜〜〜 それとも、美奈と試合するの怖いですかぁ〜?」

それに続いて、美奈子ちゃんが挑発するような事を言い出した

「なんだと〜〜〜さてはお前、インチキしたんだろ!!」

「そんなことしませんよぉ〜〜美奈子のお願いが天に届いたんですね〜〜お姉様〜♪」

「そ・・・そんな馬鹿な!!」

「ハイハイ、怒らない怒らない どうしてもイヤなら、不戦敗になっちゃうけど・・・・・・」

と、奈々子さんが割って入った

「そ・・それは・・・・」

「だったら、今回は我慢してね」

「ウウ〜〜」

神楽ちゃんは、不満そうな顔のまま唸ってる・・・・・はっきり言って恐い

「神楽ちゃん・・・・・・この怒りは試合で・・・ね?」

「そうよ、今回は我慢して」

綾乃ちゃんと奈々子さんが、説得する

「神楽ちゃん・・・ごめんね・・・」

謝るすみれちゃん

「わ・・・・わかったよっ!!こいつとやればいいんだろ!!」

なんとか、応じてくれた


3 デート権マッチ!?



しかし、今日は神楽ちゃんと綾乃ちゃんが戦ったときよりも嫌な予感がするな〜・・・と思っていたら

「もう・・・お姉様つれないんだから・・・そうだ!美奈子が勝ったらデートしてください!」

なにを考えたのか、突然美奈子ちゃんはそんな事を言い出した



ぼくたちは、一瞬唖然とした

「お・・・おい・・・・なんだよそれ・・・・・・」

神楽ちゃんも、唖然

そりゃ、誰だって同性から言われたらそうなるよね・・・・・

「冗談じゃないぞ!!」

「あ〜〜〜お姉様美奈子に負けるのが怖いんだぁ・・・ふふ手加減してあげましょうか?」

挑発する美奈子ちゃん

「ふざけるな!誰が!!」

「お姉様口ばっかり。心配しなくても優しくしてあげますから大丈夫ですよ」

「・・・のガキ!! いいだろう。あたしが負けたらデートでも何でもしてやる!!」

そして、

「その代わり、おまえが負けたらあたしに付きまとうのを止めてもらうからな!!」

ビシッと、指を突き付ける

「じゃあ決まりですねっ。うふふ〜」

デート権マッチ・・・なんだか、とんでもない事になってきちゃったけど・・・・・大丈夫なのかな?


「それじゃ、次は流花が引くね」

流花がくじを引き、みんな順番にくじを引いた

ぼくは、残り物にしようとくじは引かなかったけど・・・・その結果・・・・


  第一試合  山本神楽VS四条美奈子

  第二試合  城ノ内奈々子VS川元弥生

  第三試合  成瀬綾乃VS堀部朔夜

  第四試合  ラ・ガティータ・ビオレタVS堀部流花

一回戦の組み合わせはこうなった

ちなみに、ネコ少女がまだ来ていないから、その代理ですみれちゃんがくじを引いたんだ

でも、いきなり綾乃ちゃんと試合というのは驚いたけど・・・

綾乃ちゃんは、

「よかった〜〜〜、最初にやっかいな相手をつぶしておける〜〜」

なんて喜んでいた

・・・・ぼくは、つぶされるつもりはないけどね・・・・

弥生ちゃんは、奈々子さんと

「この間の雪辱・・・晴らさせていただきます」

「あら?、私に勝てると思って〜〜?」

早くも、火花散らしている

流花は

「お兄ちゃんと綾乃ちゃん、どっちとやることになるのかな〜〜」

と、あのネコ少女の事は眼中に無いみたいだった



「さて、それじゃみんな準備するわよ」

奈々子さんがみんなに言った

奈々子さんがいつものやり方を説明し、

「はーーい!」

美奈子ちゃんは最初に入場する事になったらしく、ステージの入り口の方へ走っていこうとする

「あれ?美奈子ちゃんってアレが入場コス?」

ぼくは、走っていく美奈子ちゃんを見ながら言う

美奈子ちゃんの格好は、ここに来た時と同じゴスロリと呼ばれる服だった

ぼくは、よくこんな格好でこれるなーと思っていたけど・・・結局あの格好のままなんて・・・

「らしいぞ、既に中に着込んでいたらしい」

と、神楽ちゃん

「どういうのかは、私達も知らないんだけどね・・・オリジナルらしいわよ」

綾乃ちゃんも、気になる様子だった

「とにかく、あいつをちょっと痛めつけてやるよ・・・そしてあいつにとって最初で最後の試合にしてやる!」

神楽ちゃんは、オープンフィンガーグローブを嵌めながら用具室へと向かった


4 第二回SWGPトーナメント開幕



「それじゃ、いくわよ〜〜」

奈々子さんはマイクを握り、

「青コーナーより、四条美奈子選手の入場です!!」

と、コール!

すると、優雅なクラシックがながれ・・・

ステージの入り口のドアがゆっくりと開いて、美奈子ちゃんが優雅な振る舞いで出てきた


「今日の第二回SWGPトーナメントがデビュー戦となる、華麗なるダンシングドール「四条美奈子」12歳!!愛するオネェサマを倒し、デート権を手にできるのでしょうか!?」

奈々子さんが、笑いながら解説している・・・・・・・

まるで、ダンシングドールというかなんというか・・・・可憐と言える感じだった

そしてリングインすると、スカートの裾を摘んで一礼した

しかし、本当に神楽ちゃんの相手ができるのかな?

一応、やばくなってきたらセコンドについている流花に、タオル投げるように言ってあるけど・・・・

「続いて、赤コーナーより・・・山本神楽の入場です!!」

今度は神楽ちゃんの好きなハードロックが流れ出し、用具室のドアが勢いよく開いた!

そこからは、体操着姿で鋭い目つきの神楽ちゃんが出てきた!!

その表情は、鋭いというよりも怒ってるという感じもしないでもないけど・・・・


「小悪魔を退治すべく、拳に炎を宿した少女「山本神楽」が今、リングに向かい足を進めています!挌闘家として、語る術は拳のみ!!」

今度は、けっこうまともな事言ってるけど・・・・

もしかして、奈々子さんなにか企んでいるんじゃないかな・・・・・・


「山本神楽、今リングインーーーー!!!」


リングインした神楽ちゃんは、美奈子ちゃんを睨んでる

それに対し美奈子ちゃんは、胸の前で両手を組んでニコニコしてるし・・・

そんな中、奈々子さんがコール

「青コーナー、ダンシングドール・・四条〜〜美奈〜〜〜子〜〜〜!!」

奈々子さんがコールした瞬間、美奈子ちゃんは一瞬で着ていたドレス(?)を脱ぎ捨てた!!


その下から現れた美奈子ちゃんのコスに、みんなが驚きの声を挙げた

美奈子ちゃんのコスは、ビキニまで行かないけど・・・・スケスケのフリフリの・・・・露出の多い物だった

「美奈子ちゃん・・・・それ・・・・」

「お前、それでやる気か!?」

弥生ちゃんと神楽ちゃんが訊くと、

「そうですぅ〜〜〜この美奈子特製コスチュームでお相手するですぅ〜〜!」

と言って、くるりとまわって見せた

「・・・・・・・・・・・・・・・ハアァ〜〜〜〜」

神楽ちゃんは、深いため息をついた

「と・・・とにかく・・・・赤コーナー、燃える拳・・山本〜〜神楽〜〜〜!!」

奈々子さんが、苦笑いしながらもリングコール

神楽ちゃんは、気を取り直すべく・・オープンフィンガーグローブをバシバシと打ち鳴らした

案の定、まだ体操着は脱がないみたいだ

「なんで・・・・・こんなダイバカとやらなきゃならないんだ・・・・・・」

・・・・・やっぱり、気乗りしないみたいだ・・・

「うふふ〜お姉さまと試合♪それにデートまでできるなんて、美奈嬉しいです」

「そうやって笑ってられるのも今のうちだ・・・泣いても知らないからな」

「美奈子泣いたりしませんよーだ。そんな事言ってお姉様こそすぐ泣いてギブアップしちゃうんじゃないんですかぁ?」

「なんだとぉ!

「じゃあギブアップなんて無しにして、押さえ込んで3つ数えるだけのルールでやります?美奈もその方がわかり易いですし」

「ああやってやるさ!」

すみれちゃんは、

「神楽ちゃん、挑発に乗っちゃだめ・・・」

と言うけど、神楽ちゃんは聞こえていないみたい・・・・

そうなるとオンリー3カウントルールか・・・・・グラウンドがあまり得意じゃない神楽ちゃんには有利なルールだとは思うけど…うーん、なんとなく嫌な予感がするなぁ・・・・

「なんでもいい、さっさとしろよ!」

神楽ちゃんは、あっさり認めちゃった・・・・・・

そして、

「朔夜、すみれとセコンドやってくれ」

そう言い出した



ぼくと美奈子ちゃんがハモった

「ぼ・・・ぼくが?」

「お姉様、そんなのにセコンド任せるつもりですか!?」

「ああ、あたしがこいつをぶっ殺しそうになったら止めてくれ」

そう言ってきた

「え・・・まあ・・・いいけど・・・・・」

と、ぼく

たしかに・・・・・今の神楽ちゃん、本当に美奈子ちゃんを殺しかねない勢いだし・・・・・

ぼくと奈々子さんなら、止められるだろうし・・・・・・

ただ・・・・・・僕を睨む、美奈子ちゃんの表情が恐い・・・

「なんか文句あるか?」

神楽ちゃんが、ドスの効いた声で言う

「・・・・・・・・・・・・・・・なんでもないです」

美奈子ちゃんは、すねた声で応えた 

「それでは、始めるわよ」

奈々子さんは二人を見て、

「ファイッ!!」

試合開始の合図をした


5 一回戦第一試合 神楽 VS 美奈子



「美奈子!覚悟しな!!」

「いきますよ〜〜!!」

二人が同時に動いた

先に仕掛けたのは神楽ちゃんで、美奈子ちゃんに向かってジャブを放っていった!

いつもの神楽ちゃんの攻撃パターンだ

だけど、美奈子ちゃんはそれを軽くかわしていく

全然怖がっている様子も無い

始めてみた時もそうだけど、素人のうごきじゃないよ・・・・・やっぱりなにか格闘技を?


「ほらほらお姉さま〜〜こっちですよ〜〜」

「このっ!!チョコマカと・・・・」

神楽ちゃんは、怒りのフック!!

すると美奈子ちゃんは、軽くスエーでかわすと・・・・

「隙あり〜〜」

神楽ちゃんに抱きついた!

「うわっ!?」

「いきますよ〜〜」

そして、いきなり・・・・これは!?

「そ〜〜れぇ〜〜〜〜!!」

ノーザンライトスープレックス!!

「うわあぁっ!?」

ドッスーンと、マットに叩きつけられた神楽ちゃん

突然の事に、ぼくたちは呆然とその様子を見ていた

まさか、いきなりこんな大技使ってくるなんて思いもしなかった・・・・・


「お姉さま〜〜大丈夫ですかぁ〜〜?」

美奈子ちゃんは、そのまま固めずに・・・一度解いて、そのまま神楽ちゃんに体固め・・・

「うひゃうっ!!・・・テメッ!・・どこ触ってんだ!!」

・・・・・じゃなかった・・・・神楽ちゃんの太腿などを触り始めた・・・・

        ゴン

「きゃうっ!!

あ・・・・なんか痛そうな音が・・・・

「くっ・・・」

神楽ちゃんは、美奈子ちゃんを強引にどかして起き上がった

「痛いですぅ〜〜」

美奈子ちゃんも、頭を撫でながら立ち上がる

「美奈子っ!いきなりなにしやがんだっ!!」

「なにって・・・お姉さまを撫でてあげたんですぅ〜〜」

美奈子ちゃんは、当然のように言う

「ふざけるなっ!!なめてんのかっ!!」

「まだ、なめてないですよぉ〜〜 あーお姉様やっぱり触られるだけじゃ物足りないんだぁ、そんなに焦らなくても大丈夫。後でいっぱい舐めてあげますから」

美奈子ちゃんの言葉に、

「このガキーー!!」

怒った神楽ちゃんが向かって行った!

「シュッ!」

神楽ちゃんが、ショートフック!

それに対し、美奈子ちゃんはスゥエーバックでかわして、さっきと同じように組み付いていく

しかし、

「フンッ!!」

神楽ちゃんが、カウンターでボディーブローを叩き込んだ!

「あうっ・・」

美奈子ちゃんの動きが止まった

「このーーぉ!!」

続いてラリアート!!

「うぐぅぅーー!!」

ダウンする美奈子ちゃん

そこへ、

「このっ!死ね!死ね!」

神楽ちゃんの怒りのストンピング!

「キャウッ!! お姉様、痛いですぅぅ・・」

美奈子ちゃんは、体を丸めながら転がって逃げる


「ほら、立てよ」

神楽ちゃんは蹴るのをやめ、美奈子ちゃんから離れ、挑発する

美奈子ちゃんのほうも、すぐに起き上がって

「やりますね、お姉様」

と、相変わらずの笑顔のまま言う

「その笑顔を、すぐに泣き顔に変えてやるよ!!」

神楽ちゃんが動いた

この時、パンチでいくのかと思ったけど、

「いくぞ!」

「どうぞー」

ガシッと組み合った

そして、

「このー」

「うー」

力比べとなるけど・・・・・・驚いたことに、美奈子ちゃんは神楽ちゃん相手に互角
だった

いや・・・・

「お姉様、力強いですぅーステキですぅーー♪」

余裕の表情だ

「このぉぉ・・・」

神楽ちゃんは、けっこうマジな表情なのに・・・・

もしかして、神楽ちゃんよりも・・・・

「それでは行きますよーーーー」

「くっ・・・」

「そーーーれーーー!!」

「うわっ!?」

美奈子ちゃんは、嬉しそうに神楽ちゃんをロープへ振った!

そして戻ってきたところで、フライングボディーアタック!!

「わあああーーー!!」

ダウンする神楽ちゃん

美奈子ちゃんは、そのままフォールするかと思ったんだけど・・・・・・

「おねぇさまーーー捕まえたーーーー」

体固めの体制のまま、神楽ちゃんの体を撫で始めた

「わひゃぁっーー、やめろーーーーー」

悲鳴を上げる神楽ちゃん

その表情は、すごく気色悪いといった感じだった

なぜなら、美奈子ちゃんは神楽ちゃんの胸や股間も撫で始めたから・・・・・

「えっと・・・・・これって・・・・・」

奈々子さんも、反則のカウントを捕るべきか、迷っているし・・・・・

でも、これってどうなんだろう・・・・・

「こ・・・・これって・・・・」

「ゆ・・・ゆりの花・・・・・・ってやつ?」

流花と綾乃ちゃんが顔を引きつった表情で話した

「こんなのって・・・・・・・不潔ですっ!!」

弥生ちゃんも、顔を赤くして叫んだ

でも、美奈子ちゃんはお構い無しに神楽ちゃんを撫でる


「こっのっ!!」

     ガンッ!

「ギャンッ!!」

神楽ちゃんの、怒りの拳骨がヒット!

「この変態娘がーーー!!」

神楽ちゃんは、拳骨のラッシュで反撃していく

「きゃん、痛いですーーー」

美奈子ちゃんは、それを防ごうとして、撫でる手が止まった

「あたしは、そんな趣味はないんだよ、この馬鹿っ!!」

さらに、拳骨が美奈子ちゃんに降り注ぐ

そして神楽ちゃんは、なんとか今の体制から逃れようとする

・・・でも、

「おねぇ〜さま〜〜 よくもやってくれましたねーーー!!」

美奈子ちゃんが、神楽ちゃんの拳骨をキャッチした

「うっ!?」

神楽ちゃんが、しまったという表情になった

「お返しですぅぅ!!」

美奈子ちゃんは、その手をつかんで・・腕ひしぎ十字固めに持っていった!

「うわっ!!あああああーーーーー!!」

悲鳴を上げる神楽ちゃん

逃げようとしているけど、完全に極まっているから逃げるのはまず無理だ・・・

「おねぇさま〜〜〜痛いですか〜〜? 美奈も痛かったですぅ〜〜」

「くああああああああーーーーーーーーーーー!!!!」

さらに極められたらしく、神楽ちゃんの悲鳴が響く

「神楽ちゃーーん、ロープへ逃げてーーーー!!」

すみれちゃんが叫んだ

でも、ロープまでは遠いし・・・・無理っぽい・・・

ギブアップ!?・・・・・・って、オンリーフォールだった・・・・」

奈々子さんは、どうしたらいいのか迷ってる・・・・

「うわあああああああーーーーーの・・ノーーーー!!」

それでもギブしない神楽ちゃん

すると、

「ハイ♪」

美奈子ちゃんが、つかんでいた手を放した

「く・・・」

神楽ちゃんは転がって逃げ、片ひざついて起き上がる

極められた右肘が痛むらしく、左手で押さえている

そんな神楽ちゃんに、

「どうですか〜おねぇさま〜〜まだ終わらせませんよ〜〜♪」

満面の笑みで言う美奈子ちゃん

本当に嬉しそうだ・・・・・・・

神楽ちゃんは、

「そうかい・・・こっちもまだ終わらせるつもりないよ」

そういいながら、体操服に手をかけ、脱ぎ始めた

「あ、神楽ちゃんが本気になった!」

と、綾乃ちゃん

僕のときと同じだ

神楽ちゃんは、最初体操着で闘うけど、本気になると体操服を脱いで、その下に着ているセパレーツタイプの水着で闘うんだ

「そろそろ本気で行くよっ!!」

神楽ちゃんは、そういってアップライトで構える

しかし、美奈子ちゃんは

「ああ〜〜ん、水着姿のおねぇさまもステキ〜〜〜!! 美奈のために、水着になってくれたんですね〜〜」

大きな勘違いをしていた・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

神楽ちゃんは、もう何も言わなかった


「死ね、変態娘!!」

神楽ちゃんが、美奈子ちゃんに向かっていく

今度は、いつもと同じようにジャブから攻めていった!

「キャン・・恐いです〜〜」

そう言いながらもかわす美奈子ちゃんに、右アッパーが放たれた!!

「きゃあっ!?」

美奈子ちゃんは、悲鳴を上げながらも、ぎりぎりでかわしていた

でも、表情からして・・・危なかったことは確かだね・・・

「危ないじゃないですか〜〜!!」

美奈子ちゃんは、少し左に移動して、右のミドルキック!!

「くっ!!」

それをガードする神楽ちゃん

でも、ガードの上からでも結構効いたみたいだ

思った以上に、重い蹴りを使うみたいだ

そして神楽ちゃんがひるんだ隙に、美奈子ちゃんが飛び掛かった!!

「つっかまえたーーーー」

美奈子ちゃんは、神楽ちゃんの頭部を脇に挟んだ!

フロントフェイスロックの体制だ!

「くくくく・・・・・」

「どうですか?おねぇさま〜〜〜どんどん絞まっていきますよ〜〜〜」

「うぐぐぐぐ・・・・・・・このっ!!」

神楽ちゃんは、美奈子ちゃんのボディーにパンチを連打!

しかし、間合いが間合いだけに、あんまり効かないはずだ・・・・・・・

そうしたら、

「ぐうぇーー!!」

神楽ちゃんの、鈍い悲鳴が聞こえた

見ると、美奈子ちゃんの膝蹴りが、まともに神楽ちゃんに突き刺さっていた

「「「「神楽ちゃんっ!?」」」」
「神楽さんっ!?」

ぼく達は、同時に声を上げていた

「っ・・・・・・・」

神楽ちゃんは、そのままパタリと倒れた

6 エム・スペシァル



(解説 奈々子)

「ダウンッ!!」

私は、すぐに二人の間に割ってはいる

美奈子ちゃんは三歩ほど後ろに下がり、神楽ちゃんは・・・

「う・・・・・・・ぐ・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・」

うつぶせに倒れたまま、かすかなうめき声を上げて動けないみたい・・・・・

これは・・・止めたほうがいいかしら?

「カウントお願いします〜〜」

美奈子ちゃんが、私を見上げていた

「え・・・ええ・・・・・・ワン」

私はカウントをとり始める

「ツー・・・・・スリー・・・・・」

神楽ちゃん、大丈夫かしら?

まともに鳩尾に入ったから、多分もう・・・・立ち上がれないかも・・・

「フォー・・・・・ファイブ・・・・・」

「く・・・・・・・・・・・」

神楽ちゃんの体がピクッと動いた

「お姉さまぁ〜大丈夫ですかぁ〜〜?」

美奈子ちゃんが、神楽ちゃんの傍に座る

大丈夫なんて聞いている割には、嬉しそうね・・・・・

「美奈子ちゃん、下がって!」

美奈子ちゃんを下がらせて、

「シックス・・・・・セブン・・・・・」

7で神楽ちゃんがフラフラと起き上がり、

「・・・・こ・・・・・・・・の・・・・・・・・・・」

なんとかファイティングポーズをとった

う〜〜ん・・・ちょっと(?)ダメージはあるかもしれないけど・・・・これなら大丈夫ね・・・・・・多分

「大丈夫よね? それじゃ、試合再開するわよ?」

神楽ちゃんに確認すると、神楽ちゃんは無言で頷く

「・・・・ファイッ!!」

私は試合を再開させた


「お姉さまぁ〜もうやめておいた方がいいんじゃないですかぁ〜?」

美奈子ちゃんが胸の前で手を組んで、小バカにするようにクスクスと笑う

そんな態度に、神楽ちゃんはムッとした表情になり、

「その台詞は、そのまま返してやるよ!」

と、言い返すと・・・

「仕方ないですねぇ〜〜」

美奈子ちゃんは、ゆっくりと神楽ちゃんに近づいていく

神楽ちゃんは、構えたまま少し下がる

ダウンさせられたから、慎重になっているのね

たしかに、私から見ても美奈子ちゃんを相手にするには油断できないわね

「いきまーーす!」

美奈子ちゃんが、神楽ちゃんに飛び掛った!

すると、

「ふん!

神楽ちゃんは回りこんでかわし、軽めの左ストレート!

「あうっ!!」

ガツンと美奈子ちゃんにヒット!

そして神楽ちゃんは、よろける美奈子ちゃんの後ろに回りこんで・・・

「さっきは、よくもやってくれたなっ!!」

後ろから組み付くと、

「こっのーー!!」

いきなり得意の、高角度バックドロップ!!

「ヤアアアアアアーーーーー!!」

美奈子ちゃんは派手にマットにたたきつけられて、ダウン!!

神楽ちゃんは、してやったりという笑顔でダウンする美奈子ちゃんの足を取って、体を返そうとするけど・・・

「えい!」

「うわっ!?」

丁度かがんだ状態の神楽ちゃんの横顔に、美奈子ちゃんの廻し蹴りっぽいキックがヒットしちゃった!!

そして、怯んだ隙に美奈子ちゃんは足を外し、素早く起き上がってドロップキック!


「うわあー!!」

ダウンする神楽ちゃん

「お姉さまぁ〜〜なかなかやりますねぇ〜〜」

笑顔で言いながら、神楽ちゃんの足を取って体を返す!

神楽ちゃんは、抵抗できずに体を返され・・・・

「これなんかどうですかぁ〜?」

足を絡め、フェイスロック!

STF!!

「あぐ・・・うううーーー!!」

神楽ちゃんの足と顔に、がっちりと巻きついた!

「神楽ちゃん、腕をはずしてー!」

すみれちゃんが、神楽ちゃんに向かって叫ぶ

「うううーーーー!!」

神楽ちゃんは、アドバイスどおりに腕をはずそうとするけど・・・・

「あん、だめですぅ〜」

美奈子ちゃんは、さらに締め付ける

「うぐぅーーーーー!!」

さらに悲鳴を上げる神楽ちゃん

「ギブア・・・・・あ、そうか・・・えっと・・」

私はまたギブアップを聞こうとしちゃった・・・・でも、この場合どうしたらいいのかしら?

「お姉さまぁ〜ミナのお願いきいてくれますかぁ〜? 聞いてくれれば放してあげますよぉ〜〜」

「うぐぐぐぐ・・・だ・・・だれがぁ〜〜〜!」

「あ!?」

神楽ちゃんが、根性?で腕をはずしていくんだけど・・・・

「そうはさせないですぅ〜〜」

美奈子ちゃんは、自分から腕をはずして、

「おいたするならこうしてあげますぅ〜〜」

神楽ちゃんの手をつかんで、背中へと持っていった

「な・・・」

「これで、抵抗できないですよね〜〜ぎゅう〜〜〜〜」

美奈子ちゃんが、神楽ちゃんの両腕をアームロックで固めたまま抱きついた

「うわあああーーー!!」

響く神楽ちゃんの悲鳴

これって、見たことないけど変形のSTF?

でもそれだけじゃなくて・・・・

「うふふ〜〜美奈子スペシァル・1(アン)いきまーす♪」

そう言って・・・・か・・神楽ちゃんの胸をモミモミと揉み始めたの・・・・・

「えっ!?・・お・・おい・・・や・・やめろ・・・・やめろって!! くう・・」

顔を真っ赤にしてこらえる神楽ちゃん

「お姉さまぁ、気持ちいい?」

「やめろ・・・き・・・気持ち・・・よくなんか・・・・・」

「本当?…・じゃあ…お・待・ち・か・ね♪」

そう言って、美奈子ちゃんは神楽ちゃんの首筋を・・・な・・舐めてる!



「うひゃうっ!?」

変な悲鳴を上げる神楽ちゃん

「ほぉ〜〜らぁ〜〜〜〜♪・・・れろ・・・ん・・・ちゅ・・・ちゅう・・・」

「ふひゃ・・ひゃひゃぅ・・・やめ・・やめ・・・」

美奈子ちゃんはまるでソフトクリームでも舐めるかのように、神楽ちゃんのうなじや耳を舐め、キスを繰り返してる・・・

「あむ・・・ん・・・うふふ・・おねーさまおいしい・・・ちゅ・・・ふぅーっ」

「ひうっ!・・・」

胸を揉まれ耳に息を吹き込まれ身悶えする神楽ちゃん・・・


こ・・これは、やっぱり・・・・

反則よ・・・ね?・・・

「み・・美奈子ちゃん、それ反則よ!」

と言うけども、

「気持ちいいでしょぉ?」

「やめろーーー!!」

でも、美奈子ちゃんはやめようとしないし・・

「やめなさい! ワン・・・・・ツー・・・・・スリー・・・」

スリーまでカウントすると、

「仕方ないですね〜」

美奈子ちゃんは、胸を揉むのをやめ、STFを解いたの

そして神楽ちゃんは、倒れたまま両腕で胸を隠すようにして、息を切らしている・・・


「美奈子ちゃん!・・・揉んだり舐めたり・・・なんでそんなことするの!!」

私は美奈子ちゃんに言うけど、

「でもぉ〜〜これ反則じゃないですぅ〜〜」

と、自分の正当性を主張するし・・・

「だからって、あんな攻撃を認めるわけにはいかないでしょ!!

「えーーー・・・相手の体を掴んじゃ駄目だったらプロレスにならないですしぃ、揉むのと掴むのの差なんて何処にあるんですか?明確な基準を示してくれなきゃ美奈子わからないですぅ〜〜」

「駄目!次から反則にするからね!」

「そんなぁ〜〜〜噛むのはだめだけど舐めるのが駄目なんて聞いた事ないですぅ。勝手に後付けでルールを作るのはずるいと思いまーす」

屁理屈をこねる美奈子ちゃん

「たしかにそんなのは無いけど、レフリーは私なんだから私の指示に従ってもらうわよ! それが嫌なら反則負けにするわよ!」

私はそう言い返す

まったく・・・この娘は・・・

「もぉ・・・わかりましたよぉ〜・・・・・でも、カウント5まではOKでしたよね?」

「あ・・・・」

そ・・・そういえば、たしかにカウント5までは・・・・・・

まさかこの娘・・・

「ハアハアハア・・・・美奈子てめぇーー!!」

あ、神楽ちゃんが・・・・

「え?・・お姉・・・あうっ!!」

いきなり神楽ちゃんが起き上がってきたと思ったら、美奈子ちゃんに急接近してラリアートが決まっちゃった!!

不意を突かれた美奈子ちゃんは、ドテーーンと派手にダウン!!

「あたしに、あんなことしやがってーー!!」

「きゃああーーお姉さま、痛いですぅーーー!!」

美奈子ちゃんの髪をつかんで起き上がらせ、

「うるさい!死ねぇ!!」

背後に回って、もう一度必殺の高角度バックドロップ!!

「やあああああーーーーー!!!」

マットに叩きつけられた美奈子ちゃんは、そのままマットの上で大の字にダウン

「おおーーー!!」

コーナーにいたすみれちゃんと朔夜くん、そして観客席の綾乃ちゃんが歓声を挙げる

私としても歓声を挙げたい気分ね!

でも、流花ちゃんと弥生ちゃんは・・・

美奈子ちゃんも、がんばれーー!!

年が近いせいか、美奈子ちゃんの応援なんかしてる・・・

「あう〜〜」

ダウンしている美奈子ちゃんへ、神楽ちゃんが近づいていき、

「このガキ・・・なめたマネしてくれたな・・・・」

そういいながら馬乗りになると、

「このっ!!」

美奈子ちゃんの顔面を殴りつけた!

「きゃっ!!危ないですぅ〜〜!!」

間一髪、美奈子ちゃんは神楽ちゃんのパンチを弾いた!

「当たり前だ!殴っているんだから!」

そして、そのまま何発もパンチを叩き込んでいく!

美奈子ちゃんも、最初はパンチを受け流していたけど、そのうちにかわしきれずに・・ガードのみになってきて・・・

「あう・・・うぐぅ・・・・ぐうう・・・」

何発か食らうようになって・・・そのうちに、ガードもできなくなってきたの!

「いた・・・・いたいですぅーーーーーー!!」

殴られ続ける美奈子ちゃん

でも神楽ちゃんは止めない

マウントポジションのまま、何発も殴りつづける!

見ている私もスカッとするわね♪

あの娘には、いい薬ね!

「とどめだーー!!」

そのとき神楽ちゃんが、大きく右拳を振り上げる!



流花ちゃんと弥生ちゃんが叫ぶ

同時に、神楽ちゃんの怒りの鉄拳が振り下ろされた!!


                 ボゴッ!!

「なっ!?」

だけど、美奈子ちゃんの顔面に当たらず・・・

殴っていたのは、マットだったの!

美奈子ちゃんは、振り下ろされた瞬間に受け流したのね!

そして次の瞬間、

                 パシッ!!

「くっ!!」

美奈子ちゃんの平手が、神楽ちゃんの頬を張る!

「う〜〜〜!」

そして美奈子ちゃんは、唸りながら体をブリッジ状にすると同時に、体をねじってマウントポジションから脱出しちゃった!

そのまま間合いを取って、怒った猫のような体勢で神楽ちゃんに備える

「あ・・・くそ・・・」

せっかくチャンスだったのに・・・・・

そういえば、この間朔夜くんから教わったんだけど・・・・こうすることによって、マウントポジションから抜け出せるのよね

「お姉さま・・・・おイタが過ぎるようですねぇ〜〜!!」

美奈子ちゃんは、殴られて赤くなった顔に笑みを浮かべながら、神楽ちゃんにタックル!

「うわっ!?」

神楽ちゃんダウン

「まだまだぁ〜〜」

倒れた神楽ちゃんの体をひっくり返して、うつぶせの状態にする・・・・

また、あのSTFかけるのかしら?

「ミナ怒っちゃいますよぉ〜〜」

そう言って立ち上がると、神楽ちゃんの胴体に手を回して、体を持ち上げようとする!

あの体制・・パイルドライバーかパワーボムをやるつもりね!

「ふざけんな!! おイタしているのは、オマエだろうが〜〜〜・・・」

堪える神楽ちゃん

しかし、

「ううう〜〜〜〜!」

「えっ?・・・えっ?・・・・ええっ!?」

踏ん張る美奈子ちゃんに、徐々に体が持ち上げられていって・・・・



「うわっ!?」

みんなと、神楽ちゃんが驚きの声を挙げた

そう、神楽ちゃんがついに持ち上げられちゃった!!

「いぃきますよぉ〜〜!」

美奈子ちゃんは勢いよく腰を落とし、神楽ちゃんの頭がマットに食い込むーー!

パイルドライバー!

「うわあああーーーー!!」

ダウンする神楽ちゃん

そして美奈子ちゃんはロープへと走り、その反動で戻ってきて・・・・

「お姉さまぁ〜〜♪」

そのまま前のめりに倒れて、神楽ちゃんを押しつぶす!

「ぐうううう〜〜〜〜・・・」

一瞬体がくの字に曲がり、のたうち回ろうとするけど・・美奈子ちゃんがフォールの体制になっていて、下半身が動くだけだった

「は〜い、フォールですぅ〜」

嬉しそうに言う美奈子ちゃん

私は、仕方なくカウントをとる・・・・

立ってね!神楽ちゃん

「ワン・・・・・ツー・・・」

神楽ちゃんは2で肩を上げた!

ふ〜・・よかった・・・・・ちょっと安心

「くくくく・・・・」

でも、ダメージはけっこう大きいみたい、ダウンした状態から中々立ち上がれそうもないし・・・

「大丈夫ですかぁ〜〜? ちょ〜っと、お仕置きが強すぎたかもぉ〜〜♪」

そういいながら、同じように神楽ちゃんの体を返してうつ伏せにすると、

「でも、まだやめてあげないですよぉ〜〜」

神楽ちゃんの両足首を掴んで、神楽ちゃんのお尻を蹴りつけた!

「あうっ!!」

つづいて、もう一発!

「くううぅっ!!・・・」

あ・・こんどは股間の辺りを!・・・・・

・・・・・本当にこの子はえぐいことするわね


「ほらほらほら〜〜〜どうしたんですかぁ〜〜〜?」

「あう・・あああーー!!」

股間をグリグリされて、気持ちいいのか悪いのか・・・神楽ちゃんは体をくねらせながら堪える

「このままイッちゃいますかぁ〜〜〜? それとも、ミナのものになりますかぁ〜〜?」

「あううう・・・だ・・・・誰があぁ〜〜・・ああああーー・・」


こ・・・これは、反則よね?

「美奈子ちゃん、反則っていったでしょ!! ワン・・・・ツー・・・」

私がいつもより早くカウントを数えると、美奈子ちゃんはスッとグリグリをやめて、

「はい、やめました」

そういって足をどかす

けど、

「再開ですぅ〜」

そう言って、またまたグリグリ始めた!

「あああああーーーーー!!」

涙浮かべながら悲鳴を上げる神楽ちゃん

この娘・・・一度解いてからまたやるなんて・・・・

「だから反則だってーー! ワン・・・・ツー・・・・」

私はカウントをとる

すると美奈子ちゃんも、慌てて足を放す


「せっかくいいところだったのにぃ〜〜〜〜」

「いいところじゃないでしょ!何考えてるの!」

でも美奈子ちゃんは、

「でも、カウント5以内だからOKのはずですぅ〜〜 一度放してからやる分には問題ないですぅ〜」

そんなこと言い出した

「た・・・たしかに・・・・」

悪役の常套手段だけど・・・・・

いくらなんでも・・・

「ですから、ミナとお姉さまの愛のあふれる試合を邪魔しないで下さ〜い」

美奈子ちゃんはわけのわからない事を言って、グロッキーの神楽ちゃんの背中に馬乗りになる

「だいたいお姉さまが、さっさと言うとおりにしないのがいけないんですぅ!」

そう言って、神楽ちゃんの頭をガンッとなぐりつけたの!

「あいたーー!」

「お仕置きの拳骨ですぅ!!」

ガンガンガンと殴りつける美奈子ちゃん。

「いて・・いて・・・このっ!! って!!テメェ・・なにしやがる!!」

なんとか体をよじって逃げようとする神楽ちゃん

「ふーんだ、お姉さまだってさっき何発もミナの事殴ったじゃないですかぁ〜〜」

そう言って、なぐりつける美奈子ちゃん

「いたっ!てっ!・・・・こ・・・おまえって奴は〜〜〜〜」

怒る神楽ちゃん

「えいっ!えいっ!えいっ!」

「たっ!!っ!!・・・・・ま・・・イタ・・・まてぇ!! な・・・なにか・・・」

「お姉さまぁ〜〜何を言っているんですかぁ〜〜?」

相変わらずニヒルな笑みを浮かべ、楽しそうに神楽ちゃんの頭を殴りつづける美奈子ちゃん

なんか・・・様子が変ね・・・・

「・・・イタッ・・・なにか・・・・仕込んで・・・・あうっ!!」

!・・・もしかして!

「ちょっとまちなさいっ!!」

私は美奈子ちゃんの腕を掴んで、殴るのを止めさせた

「あ!なにするんですかぁ〜〜」

抗議する美奈子ちゃんを無視して、殴る手を開かせる
すると、

ジャラッ

その手から十円玉が落ちる・・・・・・



みんなが驚きの声を挙げた

この娘・・・・凶器なんか使っていた・・・・

「ずるーい!」
「反則よ!!」

流花ちゃんと綾乃ちゃんが、ブーイング

「あ〜ん・・バレちゃいいました〜〜」

「バレたじゃないわよ! いいかげんにしなさいよね!! 反則負けにするわよ!!」

私は美奈子ちゃんを強引にどかした

「神楽ちゃん、大丈夫!?」

私は神楽ちゃんを抱き起こす

「は・・・はい・・・・何とか・・・」

「まだやれる?」

「当然です・・・絶対にあいつを倒しますよ!」

そう言うと、ゆっくりと起き上がった

「お姉さまぁ〜〜、もう降参した方が絶対にお得だと思うんですけどぉ〜〜」

「冗談じゃない、これほどやられてこのまま降参なんてできるか!」

構える神楽ちゃん

そこへ、

「仕方ないですねぇ〜」

いきなり神楽ちゃんに、タックルをしかける!

不意打ちされた神楽ちゃんは、タックルを正面からくらっちゃった!!

「うぐっ!!」

美奈子ちゃんの肩が、神楽ちゃんの鳩尾にヒット!!

「行っきま〜〜〜す!!」

美奈子ちゃんは、肩を神楽ちゃんの鳩尾に押し付けたまま対角線に走る!

「え?・・・うわ・・・なな・・・・・・」

あわてる神楽ちゃん、そして・・・・


          ドッカーーーン!!


「ぐぼおおぉぉぉぉーーーーーーーー!!!」

コーナーポストに激突!!

同時に、美奈子ちゃんのショルダータックルが炸裂!!

さっきのタックルとは違って、コーナーと美奈子ちゃんの肩とのサンドイッチだから、これはたまったもんじゃないわ!

「あ・・・・うぐぅ・・・・・」

そして、崩れ落ちる神楽ちゃん

ダウンしたまま動かない

気を失っちゃったかしら・・・・・?

もしかしたら、これで止めた方が・・・

「お姉さまぁ〜〜くるしいですかぁ〜〜〜? おかわいそうにぃ〜〜〜」

美奈子ちゃんは神楽ちゃんの髪を掴んで顔を上げさせると、無邪気な笑顔で言う

神楽ちゃんはなにか言おうとしているみたいだけど・・・

「・・・・・・・・・・」

苦しさのあまり、口をパクパクさせるだけで言葉を発することができないみたい・・
・・

そんな神楽ちゃんの両足を、一番下のロープに引っ掛けて・・・両腕は中段のロープに引っ掛けたの・・・

「は〜い、おとなしくしてくださいねぇ〜〜」

何するのよ?・・神楽ちゃんを袋叩きにでもする気?・・・・

「ミナが抱きしめてあげますねぇ〜〜♪」

そう言って跪くと、ガバッと神楽ちゃんに抱きついちゃった!!

いえ・・・これって・・ベアハッグ!?

私の得意なベアハッグだわ!


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

締め付けられる苦しさのあまり、声にならない叫びをあげる神楽ちゃん

「どうですかぁ〜?ミナの熱い抱擁はぁ〜?」

「〜〜〜〜〜っ!!」

神楽ちゃんは苦しそうに顔を上げる

でも、声は出ないみたい・・・・

「ミナ、お姉さまを抱きしめることができて、とってもうれしいですぅ〜〜!!」

神楽ちゃんを締め付けながら、ガクガクと揺すりはじめる

「〜〜〜っ!〜〜〜っ!〜〜〜っ!!」

揺すられるたびに息を詰まらせる神楽ちゃん

そして、美奈子ちゃんは締め付ける力を緩め、

「ハアハアハア・・・・・」

神楽ちゃんに少し呼吸させてあげると、

「ギュウ〜〜〜」

「っ〜〜〜〜〜!!」

すぐにベアハッグを再開させた!

同時に、さっきと同様に揺すりつきで・・・・

「〜〜〜っ!〜〜〜っ!〜〜〜っ!!」

「おねぇさまぁ〜〜〜大好きですぅ〜〜〜〜」

美奈子ちゃんは、神楽ちゃんの首筋を舐め、甘噛みする

「・・・・・・・・」

それに対し、弱々しく首を振ることしかできない神楽ちゃん

まったくもう・・・

「反則だってば! ワン・・・・ツー・・・・」

私はカウントをとる

「ああ〜ん もーー・・・邪魔しないでくださぁーい」

シブシブ放す美奈子ちゃん

「ハアハアハアハア・・・・・・・」

完全グロッキーの神楽ちゃん

ぐったりと美奈子ちゃんに寄りかかっている・・・

「もっと抱きしめてあげますね♪ これは反則じゃないですから〜」

またまた神楽ちゃんを、ギューッて抱きしめる美奈子ちゃん

「〜〜〜〜〜〜!!」

「あーん、おねえさまぁとってもいい匂いぃ」

神楽ちゃんを締め上げながら胸元に顔をうずめ至福の表情をうかべる美奈子ちゃん

でもそれだけじゃなく・・・・


「キスしてあげますね♪」

そういうなり・・・

「っ!!!」




私たちは同時に、大声を張り上げちゃった・・・・・

本当に・・・・神楽ちゃんに・・キス・・・・・しているんだから・・・・

女同士で・・・・・・

リング上で咲く一輪(?)のユリの花・・・・・

なんなのよこれは・・・・・


「いいかげんになさーーーーい!!!」

私は、美奈子ちゃんを強引に引き剥がして、ついでに蹴りも一発!

「なにやってるのあなたは!!」

「きゃうう〜〜ん・・・いたいですぅ〜〜〜」

「いたいじゃないでしょ、まったく・・・なにをかんがえているの!!」

「愛情表現ですぅ〜〜〜」

「何が愛情表現よ!!」

怒鳴る私に、

「だって〜美奈子が本気でやったら神楽お姉さま相手にならないですぅ・・・だから手加減してあげなくちゃいけないですし、せめてルールに逃げられるようしてあげてるのにぃ・・・」

わざと神楽ちゃんに聞こえるように、そんなことを言い出した!



7 ルール変更



「先輩・・・・こいつはあたしが・・・・」

コーナーから、フラフラの神楽ちゃんが私の肩を掴んで、

「それと・・・・試合中ですけど・・ルールの変更をお願いしたいんです ルールなしのすべてが有効ってやつで」

そんなこと言い出したの!

「ちょ・・ちょっと、何を言って・・・・」

「わ〜〜お姉さま、それスバラシイ提案ですぅ〜〜!! もちろんお姉さまを愛撫してあげることもOK−ってことですよね?」

手をはたいて喜ぶ美奈子ちゃん

「あなたは黙ってなさい!!」

私は美奈子ちゃんを怒鳴りつける。でも・・・

「ああ・・・・できるんならな」

神楽ちゃんは、あっさりと言い返す

「ちょっと神楽ちゃん・・・」

「先輩、お願いします! こいつはただで終わらせるわけにはいかないんです!!」

・・・・・・・・・・

神楽ちゃんの眼が・・・・・怖い・・

「わ、わかったわよ・・・」

私は、下がって試合を続行させることにした


「・・・もう、お姉さまが素直にならないから、ミナが怒られちゃったです!!」

いきなり美奈子ちゃんが、神楽ちゃんに喧嘩キックを叩き込んだ!!

「うぐぅおっ!!」

無防備のところを不意打ちされた神楽ちゃんは、再びコーナーポストに激突!

「ミナ、ちょっと頭にきました!!」

そう言って、崩れ落ちた神楽ちゃんをドカドカと踏みつける!!

「うう・・くっ・・・・くう・・・」

それを必死に堪える神楽ちゃん

「このっ!このっ!!」

「くくく・・・・この・・・」

そのうち蹴るのをやめると、そのままグリグリと神楽ちゃんの顔を踏みにじる

「どうですかぁ〜〜くやしいですかぁ〜〜」

ニタニタと嫌な笑みを浮かべながら、なおも踏みにじる

「くぅっ・・・・・・テンメェ〜〜〜〜ぐぐぐ」

「ああ〜〜ん、その表情・・すごくいいですぅ〜」


そう言うと今度は、神楽ちゃんの髪の毛を掴んで顔を上げさせ、

「まだ終わらないですよぉ〜〜〜」


               パシッ

「くうっ!?」

神楽ちゃんの頬を張った!

               パシパシパシッ!!

今度は往復ビンタ!!

「い・・・いた・・・・・・・・ひぇめ・・・・」

ぐったりしている神楽ちゃんに、恍惚とした表情でビンタを連打する美奈子ちゃん

しかし、

「うぐぅおおおおーーーーーーーー!!!!」

美奈子ちゃんのビンタをする手が止まり、鈍い悲鳴と共に体をくの字に曲げ、二三歩後ろへとよろける美奈子ちゃん

見ると、神楽ちゃんがストレートを出した状態で止まってる

美奈子ちゃんに、ボディーのストレートを叩き込んだのね

「あ・・・・・・・・ウ・・・・・・か・・は・・・・・」

美奈子ちゃんは大きく眼を見開き、ダウンこそしないけどくの字に体を曲げたまま動けない

「この・・・ハアハア・・・・調子に乗りやがって・・・・」

美奈子ちゃんに近づいていく神楽ちゃん

「う・・・・あ・・・・・・」

美奈子ちゃんの顔が、恐怖に染まっていく

「苦しいか? だったら寝てろ!!」

          ドゴッ!!

神楽ちゃん必殺のアッパーが、炸裂!!

「ぱぐぅおうっ!!!」

一瞬宙に浮き、マットに叩きつけられた美奈子ちゃん

私は急いで、美奈子ちゃんを確認する

こんな強烈なアッパー食らったわけだし、もしかしたら顎が逝っちゃってるかもしれないわ

だとしたら、すぐに治してあげないと

「美奈子ちゃーん?」

美奈子ちゃんは、目をは大きく見開かれ・・・口からよだれをたらしちゃってる・・・

「美奈子ちゃん?」

動かない

完全にKOされているわね・・・・・

触ってみた感じ、顎にも異常はないみたいだけど・・・

とりあえず、一時間後には痛みも引くようにしておいてあげようっと



8 意外な告白



「フフ・・」

その時、美奈子ちゃんの眼が私へ向いたと思ったら、不気味に微笑んだ!

「きゃっ!?・・・美奈子ちゃん! 生きてるの?」

思わず悲鳴を上げちゃった・・・・幽霊の私が見ても今のは怖かったわよ・・・・

「て・・テメェ・・・・」

驚く神楽ちゃん

構え直して、少し後ろへ下がる

「おねぇさまぁ〜〜〜今のアッパー・・・・痛かったですよぉ〜〜〜」

顎をさすりながら、起き上がる美奈子ちゃん

「あたしのアッパーくらって起き上がれるなんて・・・・」

「確かにお姉さまが万全だったら危なかったかもしれませんけどぉ…やっぱりダメージは隠せないみたいですね。」

「だったら、もう一発くらってみるか?」

「その前に、ミナがいーっぱい、かわいがってあげますからぁ、ファーストキスのお味はいかがでした?」

「ファーストキス? 何のことだ?」

「さっきのミナとのキスのことですぅ〜〜」

フフフと笑う美奈子ちゃん

「生憎だが、ファーストキスなんかとっくの昔に済ませているけど・・・」

神楽ちゃんのセリフに





すみれちゃんを除く、みんなの声が響いた

そして綾乃ちゃんが、コーナーへと走り寄って、

「すみれちゃん、それホント?」

すみれちゃんに問い詰める綾乃ちゃん

「え・・あの・・・でも・・・・詳しい事は・・・」


「相手はあたしに格闘技の基本を教えてくれた従兄弟のアニキだよ、今高校一年だけどよければ紹介してやるよ」

得意気に言う神楽ちゃん

「それにしても、みんなあたしがキスしたことあるのがそんなに可笑しいかよ!!」

「う・・ううん・・ごめんね」

謝る綾乃ちゃん

「なんか以外だね〜」

「私も、そういうの興味ないと思ってた〜」

こそこそ話す流花ちゃんと弥生ちゃん

そして、朔夜くんはただ苦笑いしているだけだし

美奈子ちゃんはというと・・・・・・あら?

「美奈子ちゃん? おーい美奈子ちゃーん」

美奈子ちゃんは、あんぐりと口をあけたまま固まっている

しかも全体が真っ白になっているし・・・・

神楽ちゃんがキスをしたことあるということが、よほどショックだったみたいね

「もしもーし・・・」

私は美奈子ちゃんを軽く押してみた

すると・・・・


       ヒューーーーーーー            ぱたん



その状態のまま倒れちゃった・・・・・・・


9 決着



「・・・・・・・・・・・・・・・・」

これは・・・・・・試合続行不可能よね?

精神がイッちゃったんだから・・・・

そうだ、このままKO負けにしようっと♪

「はい、試合・・・・」

私が試合を止めようとしたとき、

「お〜〜〜〜〜ね〜〜〜〜〜さ〜〜〜〜〜ま〜〜〜〜〜!!!」

突如、ものすごい形相で起き上がってきた美奈子ちゃん

早くも精神は組み立てられたのね・・・しかもブチギレという状態で・・・・

「うわーー怖い顔!」

「綾乃さんの夜叉姫状態みたい・・・」

と流花ちゃんと弥生ちゃん

「やるか?」

挑発する神楽ちゃん

「こーーの、浮気者ーーーー!!!」

「だれがだーーー!!!」

二人同時に動き、ガシッと組み合う!

「くぬぬぬ・・・」

「うううううう」

組み合ったまま、間近で睨み合う二人

でもすぐに、

「このっ!!」

「ぐふっ・・」

美奈子ちゃんの膝蹴りが、神楽ちゃんのボディーにヒット!

しかし、

「オラッ!」

神楽ちゃんも反撃の膝蹴り!

「ううう〜〜〜」

美奈子ちゃんが怯む

そこで、

「いくぞーー!!」

美奈子ちゃんの頭を抱えて、そのまま後ろへ!

DDT!!

「きゃううーー」

悲鳴上げてダウンする美奈子ちゃん

神楽ちゃんは、そのまま美奈子ちゃんの腕を取ろうとする

グランドに持ち込むつもりね

「神楽ちゃん、グランドは不利だよーーー立って打撃にするべきよーー!!」

「そうだよ、自分の領域に持ち込むんだ!」

すみれちゃんと朔夜くんがアドバイスを送るけど、神楽ちゃんはそれを無視して腕ひしぎへ持っていこうとする

「まだまだ〜〜」

美奈子ちゃんも黙ってやられるわけもなく、とられそうになった右腕を左手で掴んで堪えながら、神楽ちゃんの方へと転がろうとする

「くっ・・」

神楽ちゃんは右腕を取るのを諦め、フォールに入る

「先輩、フォール!」

私もすぐにカウントを数える

「ワン・・・・ツー・・・・」

しかし、スリーに入る前に美奈子ちゃんに返される

「ああ〜〜・・」

すみれちゃんが、残念そうにつぶやいた

「くそ・・」

神楽ちゃんは起き上がって、美奈子ちゃんからどく

そして素早く立ち上がって、構える

やはり打撃で行くしかないことに気づいたのね

「うう〜〜お姉さまのときはカウント速くありません?」

立ち上がる美奈子ちゃん

「そんなことないわよ〜」

わたしは誤魔化す

ホントは、わずかに早くしたんだけど〜♪

いい加減やられて帰ってほしいわね・・・この子仲間に入れてあげようなんて思った私が馬鹿だったわ・・・・・


「行くぞコラーー!!」

いきなり神楽ちゃんの右ストレート!

無謀な攻撃だけど、そのまま美奈子ちゃんの顔面にヒットしてくれるとうれしいわね

だけど、美奈子ちゃんは体制を低くすると同時に、タックル!!

「なにっ!?」

「ええっ!?」

美奈子ちゃんは、神楽ちゃんのパンチをかいくぐってタックル・・しかも両足のタックルをしかけたの!!

多分美奈子ちゃんも、あまりかわす力が残っていないから、賭けに出たのね・・・・

そして、その賭けに成功・・・・

「お姉さまーーーー!!」

「うわっ!?」

神楽ちゃんをマットに倒して仰向けにすると、素早く足を取って足十字の体勢になった!

その際に、自分の左足を神楽ちゃんの右足に絡め、右足は神楽ちゃんの首に引っ掛けている!!

「うぐうううーーーーあああああーーーーーー!!!」

首を絞められる苦しみ・・足を強引に開かされた挙句、ひざを極められている痛みに、今まで以上の悲鳴が体育館に響き渡る

「うわあああーーーーーーーーー!!!!」

苦しさのあまり、首にかかっている足をどかそうとするけど・・・

「そうはさせませんですぅ〜〜〜」

美奈子ちゃんは、その腕を掴んで押さえる

こうなると、神楽ちゃんに抜け出す手立ては無くなっちゃった・・・・・

もう・・ギブするしかないわよ、これ・・・・

「さぁ〜〜〜お楽しみの時間ですよぉ〜・・・たっぷり可愛がってあげますからね♪」

満足げに妖しく微笑む美奈子ちゃん

そう言うと、先ほどと同様に太腿の辺りを舐め始めたの!

「アアアアアーーーーーー!!!」

神楽ちゃんは、悲鳴を上げるだけで何も応えられない

「さあ〜〜お姉さま〜〜〜・・・・ミナの愛で目覚めてくださぁ〜〜い」

そういいながらも、今度は股間を撫で始めて・・・・・もう、これは拷問よ!

でも、ルールの無くなった今、試合を止めることはできないわ・・・・・

「ツアアアアーーーーーー!!は・・放せーーーーーー!!」

神楽ちゃんが抵抗しようとするけれど・・・わずかに、からだをくねらせるだけだったし・・・・

「お姉さまが、ミナの言う事をきくなら放してあげますよぉ〜〜」

「ふ・・・ふざけるな・・・・アアア・・・・アアーー!!」

「まだ言いますかぁ〜?」

今度は、神楽ちゃんの股間を撫でる手を強める

「やーやめーーー・・・・・く・・・・うう〜〜・・・」

「気持ちいいでしょ〜〜?」

さらに撫で回しながら、神楽ちゃんの太腿を舐め続ける美奈子ちゃん

「あ・・・あああ・・・・」

神楽ちゃんが、腰をくねらせはじめる・・・・

もう、悲鳴というよりも喘ぎ声ね・・・・・・・

どうしよう・・・・・

「うわ・・・あああ・・・・・ああああーーー」


「さあ、お姉さまっ!!」

美奈子ちゃんは首を絞める足を強めつつ、股間をまさぐる手を水着の中へ入れようと、徐々に移動させていった!!

「や・・・・やめ・・・て・・・・」

「え〜?聞こえませんよぉ〜〜?」

美奈子ちゃんが、少し足を緩める

「お・・お願い・・・・・やめて・・・・・・・・・言うこと・・・・きくから・・・・」

神楽ちゃんが泣いてる・・・・・

よっぽど屈辱だったのね・・・・・

「うふふー♪それは美奈子には敵わないからもう許して欲しいって事ですかぁ?」

神楽ちゃんを屈服させてなお、更にその余韻を楽しむかのように質問を続ける美奈子ちゃん

そういいながらも、まさぐる手を止めようとはしない

「・・・・・くう・・・・」

「・・・お返事はぁ〜?」

そこで、一瞬手の動きが強くなった

「・・・うあっ!!・・・・・・・そ・・・・そうです・・・」

「ちゃんと自分の言葉で言ってくださぁ〜〜い」

そう言うと.美奈子ちゃんは神楽ちゃんの全身を更に締め上げる。

「あああっ!!・・・あ・・あたしの・・負けです・・ああ・・・・お・・お願い・・もう・・許して・・・」

神楽ちゃんが泣き声混じりの悲鳴をあげる。

「うふふ〜・・・っていう事は、お姉さまもミナとデートする気になったって事ですよねぇ〜?」

満足げに神楽ちゃんを弄びながら、ねっとりと絡みつくような声で尋ねる美奈子ちゃん。

・・・この子・・・最初からそれが目的だったのね・・・

「・・・ううっ・・・・・・」

「あれぇ〜〜違うんだぁ〜〜〜〜、じゃぁ〜〜モット激しくしなくちゃ・・・」

「・・・っ!あたしも・・美奈・・と・・・デート・・・したい・・・です・・・・」

わざとらしい脅しに慌てて反応する神楽ちゃん。

すっかり怯えちゃってる・・・・

こんなことされたら、精神的にきちゃうわよね・・・・・

美奈子ちゃん・・・本当に恐ろしい娘ね・・・・・

「うふふ〜お姉さまやっといい子になりましたねぇ〜〜・・・でもぉ最初の約束通り、ギブアップはみとめませーん♪これからたっぷりおしおきタイムでーす。」

にこやかに残酷な宣言を行なう美奈子ちゃん。

「ひっ…そんな!…いやっいやあっっ!…もうやめてぇ」

とりみだした悲鳴をあげもがく神楽ちゃん

「駄目でーす♪」

そういうと目一杯神楽ちゃんを締め上げる

「ああああああああっっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ!」

神楽ちゃんの悲鳴が響きわたる。

「・・・はい休憩でーす。」

神楽ちゃんの声がかすれ、意識が途切れそうになる寸前に力を緩めたのね。完全に遊んでるわ・・・ギブアップ無しの提案はこの為・・・

「・・・・・お、おねがい、・・・もう許してぇ・・・」

神楽ちゃんが懇願する

「も〜お姉さまワガママなんだからぁ〜・・・それじゃ今度は気持ち良くしてあげますね。」

「やぁっ・・・ああっあっ・・・・ぁ・あぁ・あっあっ」

「タオル貸してください!」

突然すみれちゃんの声が響いた

そうか!セコンドのすみれちゃんがタオルを入れればギブアップに関係なく試合を終わりにできるわ!

綾乃ちゃんが慌ててすみれちゃんにタオルを渡す。

「あーん・・もう・・・わかりましたよぉ・・・」

リング外の動きを見てとった美奈子ちゃんがようやく神楽ちゃんを解放した

「・・・みんなじゃまばっかりするんだからぁ・・・しょうがないから今日は終わりにしてあげますね」

そう言うと、ぐったりしてもうなにもできませんという神楽ちゃんの髪を掴んで起き上がらせる

「・・・・・」

神楽ちゃんは抵抗する気力すら尽き果てたみたい・・・糸の切れたマリオネットみたいに美奈子ちゃんの成すがままになってる・・・

その胴体に、美奈子ちゃんが腕を回して・・・・

「いいですかぁ〜〜? ちょ〜〜っと強いのが行きますよぉ〜〜〜〜!!」

そういうと、神楽ちゃんを勢いよく持ち上げ・・・そして・・・・


「そ〜〜〜〜〜〜〜〜〜れっ!!!」

マットに叩きつける!!

「ッぐ・・・はーーーーーーーー!!!」

強烈なパワーボムが炸裂!!!

美奈子ちゃんは、そのままフォールに入る

「お姉さまぁ〜〜愛していますぅ〜〜〜〜」

そうして、またキスしてるし・・・・・・

まったく・・・・

「ワン・・・・ツー・・・・スリー」



カウントスリーが入った

とりあえず勝ち負けよりも、こんな試合を早く終わらせたかったから、速めにカウントしたんだけど・・・・

それよりも!

「いかげんになさい!!」

神楽ちゃんにキスしたままの美奈子ちゃんに、蹴りをいれてどかした


×山本神楽
(36分42秒 エム・スペシァル5=ル・レーヴ)
(パワーボム)
四条美奈子


10 勝敗の明暗



「いったーーーい!! なにするんですかぁ〜〜」

美奈子ちゃんの抗議の声を無視して、

「神楽ちゃん、大丈夫!?」

私は神楽ちゃんに駆け寄る

同時に、すみれちゃん達も神楽ちゃんの側に駆け寄る

「神楽ちゃんっ!!」

「大丈夫!?生きてる!?」

抱き起こす綾乃ちゃんとすみれちゃん

「く・・・・うう・・・っく」

神楽ちゃん・・・泣いてる・・・・・

美奈子ちゃんに屈したことが、よほど悔しいのね・・・・

そんな神楽ちゃんに、美奈子ちゃんが・・・

「お姉様〜〜デートの約束忘れないで下さいね〜」

ニコニコしながら言う

「・・・・・・・・・わかってるよ」

涙を流したまま、小さく答える神楽ちゃん

その手はきつく握られている

「でもお姉さまやっぱり美奈の言ったとおり、泣いちゃいましたね。最初から言うこと聞いてくれればもっと優しくしてあげたのにぃ」

そんな様子を知ってか知らずか、美奈子ちゃんは言葉の追い討ちを続ける

「と、とにかく・・神楽ちゃんは保健室に行って、ベッドで休んでなさい すみれちゃん連れて行ってあげてね」

私はすみれちゃんに言う

「先輩、保健室って言っても、鍵が開いていないですよ?」

と、綾乃ちゃん

「だいじょうぶ、こんな事もあろうかと開けておいたわよ 潜入任務は得意なの♪」

「そ・・・そうですか・・・・」

おまけに結界も張ってあるから、問題ないし

「神楽ちゃん大丈夫? 歩ける?」

「ああ・・・うん・・・」

神楽ちゃんが、俯いたままこたえる

そして、すみれちゃんが神楽ちゃんを立ち上がらせると、リングを降りる

そこで、

「保健室なら美奈が連れて行ってあげますよ〜〜」

美奈子ちゃんが、神楽ちゃんに近づいてきた

「それが一番危険!!」

みんなが一斉ににハモった

しかし、それでも神楽ちゃんに近づこうとする美奈子ちゃん

私は美奈子ちゃんを捕まえて、

「いまのうちに早く!!」

あわててすみれちゃんが、神楽ちゃんに肩を貸して保健室へ連れて行く

「ああ〜ん、待ってぇお姉さまぁ〜美奈が添い寝してあげるぅぅーーー!」

じたばたしつつ、神楽ちゃんに向かって手を伸ばす美奈子ちゃん

「・・・っこの・・・いい加減にしなさいっ!! あんたは神楽ちゃんの半径3メートルに近づくの禁止!! もしやぶったら、次の試合は不戦敗の上、神楽ちゃんとのデートも中止にするわよ!!」

そう言った

すると、美奈子ちゃんはピタリと止まっちゃった・・・・

「・・・・・・・・?」

・・・?・・・妙に聞き分けがいいわね・・・・なんだか大人しいし・・・

「っ!?」

そう思ったとき、私の胸元から嫌な感触が!!

「・・・はぁん・・・奈々子お姉さまぁ・・・すごいボリュームぅ〜〜」

いつのまにか美奈子ちゃんが私の胸に顔を埋め、すりすりなんてしてる!!

しかも、どこさわってんのよっ!!

「・・・っ!こっこのエロガキ!」

私は美奈子ちゃんを、思いっきり蹴飛ばした!!

ボテンと倒れる美奈子ちゃん

「きゃう〜・・・いたいです〜・・・」

とかいいながらも、すぐに起き上がってきた・・・・・

なんなのよこの娘は・・・・神楽ちゃんだけじゃなく、私にまで手を出そうっての?・・・・

冗談じゃないわよ、もし私と当たったら絶対に殺すわよ!!

それとも、いっそのこと・・・この場で祟ってあげようかしら?

「でもぉ〜〜確かに今日は他にもまだまだ楽しめそうですね〜」

そういながらも、私と綾乃ちゃんにも舐めるような視線が・・・・

「メインディッシュは素敵でしたけど・・・デザートもよりどりみどりかぁ♪・・・・・わっかりましたぁ。美奈おとなしくしてまーす」

そう言いながら、口元のよだれを拭く仕草をしてるわよ・・・・・・

綾乃ちゃんも思わず後ずさりしてるし・・・

幽霊の私ですら、こんな気分にさせるなんて・・・

この子は、本当に恐ろしいわね・・・・・・

とにかく、弥生ちゃんを倒した後は美奈子ちゃんと闘らなくちゃならないのよね・・・・

仕方ないわ・・・・、そのときに二度と参加したくなくなるぐらいに痛めつけてやるんだから。



11 涙と親友



〜保健室〜
(解説 すみれ)

神楽ちゃんに肩を貸して保健室にやってきました。

奈々子さんの言うとおり鍵は開いていまして、校内には誰もいません。

普通の人は気付かない程度ですが、ほんの微かに首元が少しチリチリとするような、結界域特有の空気が感じられます。

この様子だとほぼ学校全域が奈々子さんの「領域」になっているみたいです・・・

まったく・・・ほんとに元気なんだから・・・・

これだけの力を行使できる霊の存在は、本来それだけでも問題なのですが・・・霊なのに陰の気質が全く無いというか、現世への執着がプロレスに特化しちゃってるというか・・・霊障と呼ぶにはあまりに陰りが無い状態ですし・・・今の所問題は無いと思います。



「神楽ちゃん、大丈夫?」

ベットまで来ると、神楽ちゃんはポテンと倒れ込むように横になりました。

「大丈夫だけど・・・・大丈夫じゃなーい・・・・・」

突っ伏したの姿勢のままじっとしていて、肉体的にというよりも・・・精神的にまいってしまっているみたいです・・・

でも、あんな事されたら・・・誰だって・・・

私は神楽ちゃんにどんな言葉をかけてあげればいいのかもわかりませんでした。


「・・・・すみれー」

少しの時間沈黙が流れたあと、枕に顔を埋めたままのくぐもった声で、神楽ちゃんが話し掛けてきました。

「・・・なぁに・・・?」

「・・・・・・あたし・・・負けちゃったよ・・・・・・」

涙声でつぶやく神楽ちゃん。

「・・・あんな事まで言わされて・・・・・・」

神楽ちゃんの言葉に、私は申し訳なさで胸がいっぱいになりました・・・・・美奈子ちゃんがキケンなのはわかっていたのに・・・

「・・・・・・・神楽ちゃん・・・ごめんね・・・」

私は小さく震えている神楽ちゃんに、謝るのが精一杯でした

「・・・なんで、すみれが謝る必要あるのさ・・・」

神楽ちゃんが、涙混じりの鼻声でいいます

「だって・・・私がくじ引きなんかにしなければ・・・・」

本当はそれだけじゃない・・・私が美奈子ちゃんに脅されて、細工されたくじなんて使ったから・・・

「・・・気にしなくていいよ・・・結局あたしが・・・弱かっ・・・のが・・・悪いん・・・から・・・」

消え入るような声、最後のほう嗚咽に溶けてしまっていました。

「そ、そんな事ないわ、それにあんな反則ばっかりされなかったら!」

私は慌てて否定します。

「・・・それに・・・・・・手加減・・・したって・・・・」

声を詰まらせながら神楽ちゃんが続けます・・・

「そんなの嘘に決まってるわ!」

あくまで自分を責める神楽ちゃんに・・・私は、たまらなくなって思わず大声を出してしまいました。

「・・・・・・?・・そうか・・・なぁ・・・」

私の声に驚いたのか、神楽ちゃんが顔をあげました。

頑なに自分を責めていた神楽ちゃんの姿勢が、少し揺らいだようです。

でも・・・・・・・美奈子ちゃんが強かったのは間違いありません

あの様子だと手加減したというのも、嘘ではないのかも・・・・

打撃の対応も良く知ってるみたいでしたし、何か格闘技をやってる可能性は十分ありそうです。

美奈子ちゃんの動きには、私が気づいただけでも数種類の格闘技の動きが見られましたし・・・

「それに、神楽ちゃんすっかり油断してたでしょお。挑発にも全部のっちゃうしぃ」

重苦しい空気を軽くするために、大げさに口を尖らせて、おどけてみました。

「・・・う・・・それは・・・だって・・・なぁ・・・」

思い当たるフシがあったのでしょう、ぱたぱたと身振りを沿えたようやくいつもの神楽ちゃんらしい仕草が出てきました

勿論神楽ちゃんだけでなく、誰も美奈子ちゃんがあんなに強いなんて思ってはいなかったけれど・・・

今思うとそういう部分も含めて、全てが美奈子ちゃんの計算上の事だったのかも・・・・

「はい、チーン」

ハンカチで涙を拭ってあげた後、グズグズいってる神楽ちゃんにティッシュをあてがいます。

「いいよぉ、もぉ」

そういいながらも、神楽ちゃんは子供みたいにチーン。

「いい子いい子」

ちょっと照れくさそうな神楽ちゃんの頭を、小さな子供にするようにナデナデしてあげました

「今度がんばればいいじゃない 今は少し休んで・・・ね?」

ヘアバンドを外し、ポニーテールをほどいて神楽ちゃんをベットに寝かしつけます

「・・・ん・・・そだな・・・・・・ありがと、すみれ。 泣いたままだとカッコ悪いから・・・治まったら戻るよ」

ちょっとバツが悪そうだけど、神楽ちゃんに少し笑顔がもどりました。


次回につづきます・・・


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