第12話

作:薊(超芝村的制作委員会)




1.第一回チキチキ手作りお昼ご飯大会

(奈々子)

「でも、お昼どうするんですか?一度家に食べに帰りますか?」

綾乃ちゃんが聞いてくる、ふむ・・・そうねぇ、でもやっぱりそれじゃ詰まらないわよねぇ・・・

「ハーイ皆それじゃ教職員食堂に移動っ!」

「おー」

「ええ!?」

お子様達からは小さな歓声が、中学生組みからは驚きの声が返ってくる

「先輩、食堂は休日にはやってないし、そもそも生徒は使えませんよ。」

あわてて神楽ちゃんが判り易い説明をしてくれるけど、ぶっちゃけ私は神楽ちゃんよりもかなり長い間この学校にいるからその辺の事情は十分知ってるのよね

「そうね、今日は食堂には人っ子一人いないわねぇ。でもだからこそ行くの。」

そう言うとどよめきが起こる

「それって・・・」

「もしかして・・・」

「フフ・・・第一回!場外バトル・・チキチキ手作りお昼ごはん大会〜!」

「ええええええええ!!!!!!!」

思いつきサプライズ企画に揺れる場内

「いいじゃなーいこんなに女の子がいるんだしぃ〜、あ、そうだ朔夜君はその間に坂下のスーパーでジュースとか色々お買い物してきてくれる?」

「あ、ハイ・・・えっと・・・?!」

戸惑う朔夜君

「大丈夫その間にみんな一人一品朔夜君の為におーいしいご飯作っててくれるから」

「!!」

衝撃が走る場内、ひとまず火付けは成功ね。

リング下にて3人で絡まっていたすみれちゃんがそれこそ猫みたいにピクンと上体を起こす。

そーよねー、すみれちゃん得意分野だもんね〜

見渡す限りは・・・綾乃ちゃんもそれなりに自信ありそう・・・お子様軍団はだめっぽそうね。

「でも材料はどうするんですか?」

神楽ちゃんは何だか別のところに気がいってるわね

「大丈夫よ・・・えっと教職員食堂の冷蔵庫に色々ある・・・のは確認済みだから」

咄嗟に結界内をサーチして答えると

「いやそれは使ったらマズイんじゃ・・・」

神楽ちゃんったら根が真面目ねえ

「そそそーだそーだ!」

「そ・・・そうですよ!」

真面目というより自信なさげなお子達が早速尻馬にのる

「そんなの後でちゃんと買い足して置けば大丈夫よ!」

「そ・・・そうですよ!ちゃんと補充さえしておけば」

と、綾乃ちゃんとすみれちゃん

この二人は無理を通して道理を蹴飛ばしてでもこのアピールタイムを利用したいみたいね

うんうん良い感じで盛り上がってきたわぁw

「なーんでミナがあんなキモクリーチャーにエサを!・・・あ・・・・そーだ♪」

なんか約一名はまたよからぬ事を考えてそうだけど・・・

「ハイハイそれじゃそういう事で移動移動」

流れを強引に取り仕切っちゃう。やはり勢いって大切よね

私も幽霊やって結構長いけど、なんていうかバトルというか争い事の空気って私にとってサイコーのご馳走なの

そういう時に人から発せられるオーラと言うか生体エネルギーというかそういうのってほんとに美味しい♪

もちろんプロレスで直接対戦して摂取するのが一番好きだけど、今日はもう出番が無くなっちゃたし・・・

この際別の形でもいいから新鮮な争い事オーラを補給させてもらわなくちゃ・・・

だってSYURAっていうサークルは私にとって自給自足でロハスな食生活の為の最高の畑だもの

まぁ私、悪霊なんだしぃこれぐらいの自給自足は大目に見てもらわないと♪




さてさて。



2.思惑それぞれ料理バトル





めぼしい食材を見繕い厨房へ



「それじゃみんな、絶好のアピールのチャンスだから頑張ってね〜」

適当に煽りをまぜつつ、ところで・・・

(すみれちゃんそのママでいいの?)

念話ですみれちゃんに話かける

何の事かというような顔をこっちに向けたあとハッとしてマスクに手をやるすみれちゃん。

今頃気付くのもどうかと思うけどマスク被ったままじゃ頑張ってもねぇ・・・

「わ、わたしちょっと用事を・・・」

あわてて席をはずそうとするすみれちゃん。着替えて出直してくるつもりなのね。

「ちょっーと待ったぁ!!」

「今更逃げるんですか?」

お子達がすみれちゃんの前に立ちはだかる。

「別に逃げるわけじゃ・・・」

後ずさりするすみれちゃん

「はん、どーだか!」

「往生際が悪いですよ」

どうやらネコ少女が怖気づいて逃げ出すと思ったみたいね

お子達はなるべく平均点を下げて自分の粗を目立たなくしたいって所かしら?

ネコ少女の中の人はすみれちゃんだから逆効果だと思うけど。

流石に可哀想だから手助けしてあげるかしら

「まーまーそう言わずに、早く自分の事やらなくちゃだめよ」

たしなめるようにそういうと

「そーゆー奈々子ちゃんは何でさっきから余裕かましてんの?」

「まさかあれだけ煽って自分は参加しないつもりなんてフザケタ事はないですよね?」

なんかトゲトゲしい矛先がこっちに・・・

ヤバイ・・・コレは盲点だったかも

「いやホラ私はお姉さんだから〜」

とりあえずはぐらかそうとしたんだけど

「どうせ奈々子ちゃん今日はもうずっと暇なんだから早くやんなさいよ!」

「確かにお姉さんなのにまとまな料理ひとつ出来なかったら恥ずかしいですよね〜」

ぐぐ・・・ガキンチョども・・・ヤブヘビだったわ

「ハイハイ戻った戻った!」

お子に押されてすみれちゃんと一緒にキッチンに連れ戻される



「そうかー、んじゃ料理ができるのは綾乃だけか・・・そういやすみれ残念だな・・・あいつなら料理得意だし朔夜の為なら頑張っただろうに」

あんまり興味無さそうに食材を物色しながら神楽ちゃんが他人事っぽくそんな事を言い出した

その言葉に今まで成り行きを余裕の微笑で見守っていた綾乃ちゃんがピクと反応する

「・・・まぁ朔夜君の好みは私が一番良く知ってるから例えすみれちゃんが頑張ってもねー」

平静を装いながらふふんと鼻を鳴らす綾乃ちゃん

「いやーそれはわからないぞー」

「そ、そんな事わかりませんよっ!」

神楽ちゃんとすみれちゃん@ネコ少女がハモる

「なんだ?あんた・・・すみれの事知ってんの?」

驚いた様子で神楽ちゃんが聞く

「いや・・・その・・・すみれ・・・ちゃんとは、えと一緒に料理を勉強したというか・・・」

オタオタするすみれちゃん、まったく後先考えないんだから・・・

「勉強って?クッキングスクールか何かって事?じゃ、・・・すみれちゃんももあなたの事知ってる訳?」

と今度は綾乃ちゃん

「あ・・・いや私は知ってるけど多分向こうは知らないんじゃ無いかと・・・」

なんとか話を取り繕うすみれちゃん。

「ふーん、じゃぁさ、あんたもすみれと同じくらい料理できるんだ?」

神楽ちゃんが感心したように聞くと

「えっと・・・まぁ・・・殆ど同じぐらいには・・・」

まぁそりゃ同じよねぇ

「んじゃぁさ、あれ作れる?なんていうのかなスープのパスタ?すみれの作るあれすっごい美味いんだ」

目を輝かせて神楽ちゃんが聞く

「それってミネストローネ風のペンネの事?」

すみれちゃんが聞き返すと

「ペね?みねすと・・・ねろ?」

当然と言うかイマイチ伝わって無いみたい、あたしも良く分かんないけど。

「ええと、トマトベースのスープ仕立てでセロリとか賽の目ぐらいに細かく切ったお野菜が入った・・・」

神楽ちゃんにも分かりやすそうな言葉を探して説明するすみれちゃん

「ああ!ソレソレ!!此処にある材料で出来る?ほら、トマトもセロリに人参もあるし!あとは・・・」

早速食材を探し始める神楽ちゃん

「えと、、、玉葱にコンソメ、オリーブオイルにニンニク・・・あ、ローレルもあるんだ。ペンネは無くても普通のパスタにアレンジできるし・・・うん、これなら大丈夫だけど」

「やや弥生ちゃんヤバイよ、ネコ丸なんか「出来る」人っぽい・・・」

「クッキングスクールだなんて・・・そんな・・・」

ネコ少女の台詞から漂う明らかに手馴れた空気を感じ取って、驚きを隠せないお子達

「ホントに!じゃさ、それ作ってくれないかな?・・・悪いんだけどすみれの代打って事で朔夜には内緒でさ」

お子達の動揺なんて全く気にも留めず唐突に切り出す神楽ちゃん

「え?」

突然の申し出にポカンとするすみれちゃん

「いやさー何かすみれって朔夜の事好きみたいなんだけどさ、あの子気が弱いから弁当作っても渡せなかったりしててさぁ、でもあれならきっと朔夜も喜んで食べると思うんだ」

「!!」

KYな神楽ちゃんの爆弾発言に一気に色めき立つ場内。

「ちょ・・・神楽ちゃん!?」

マスクの下で耳まで真っ赤にして取り乱すネコ少女にも構わず神楽ちゃんが続ける

「今日みたいなチャンスなんて早々ないのにそういう時に限っていないなんて・・・」

「それは・・・」

マスクをかぶった自分の立場を思い出しシュンとなるネコ少女

「あたし、なんとかしてやりたいんだよ・・・もちろんあたしがすみれの代わりに料理ができればいいんだけどそういうの全然駄目でさ・・・なぁ頼まれてくれないかなぁ?」

「神楽ちゃん・・・」

あらまぁ・・・美しい友情ね、すみれちゃんちょっとウルッときてるし

「わかったわ!神楽ちゃん!私がんばるから!」

まーすみれちゃんにしてみれば渡りに船よねぇ

「そっか!ありがとう!恩に着るよネコっち!・・・あ、そだ・・・綾乃も自信あるんだろ?ならそれでもいいよな?」

軽く綾乃ちゃんを牽制する神楽ちゃん

「う・・・別に私はいいけど・・・」

綾乃ちゃんは想定外の方向からのライバルの出現に困惑してるみたい

「よーし、きまり!んじゃあたし手伝うからさっ!」

ジャージの腕まくりをする神楽ちゃん、と

「ちょっーっとまったぁあああっ!」

またまた、お子二人が神楽ちゃんの前に立ちはだかる

「な・・・なんだよ」

後ずさりする神楽ちゃん

「ひとの料理手伝う暇があったら自分でなんか作んなさいよ」

「そうやって逃げるつもりですか」

「いやだって・・・あたしは料理なんて・・・」

「そんな直球な言い訳が通るかぁぁぁあああ!」

「だったら尚更、面白料理つくってもらわなきゃっ困ります!」

「お面白料理ってなんだよ!」

「ごちゃごちゃゆーなポエミィ!!」

「逃がさないっていってるんですよポエミィ!」

「がーっ!!ポエミィってゆーな!!!」

・・・Bグループの最下位争い前哨戦って感じかしら?ってあたしも他人事じゃ無いけど

そうだこの流れをうまく利用してタッグ戦にしちゃえば・・・

すみれちゃんと神楽ちゃんがチームになるのは流れから仕方ないとしてとして私が綾乃ちゃんを押さえれば・・・

ナマイキなお子達には確実に勝つる!!!よし

「・・・もーしょうがないわねぇ!それじゃ私が綾乃ちゃんと・・・」

「!!!!」

「チームにって・・・!!ふぎゃーっ!!!」

言い終わらぬうちに物凄い勢いで突っ込んできたお子達に弾き飛ばされた!!・・・・・・・あいたたた・・・

「んじゃ綾乃ちゃんは私達のチームねっ!!」

「頑張りましょうね綾乃さん!!」

「え・・・?あの・・・ええと?」

先手必勝とばかり言いたい事を言い放って、意気のあがるお子達の勢いについていけてない綾乃ちゃん。

このまま流れをお子様に持って行かれてはマズイわ

「ち、ちょっと待ちなさい!綾乃ちゃん困ってるじゃない」

物言いをつけようとすると、

「あ、奈々子ちゃんは超お荷物っぽいからイラナイ」

「基本的に料理とか繊細な作業が出来る要素がゼロですよね」

しっしとヒトを追い払うゼスチャーをするお子二人

うぐぐぐ・・・・このクソガキども・・・・・・・・

チッ・・・仕方ないわねこうなりゃ作戦変更よ

「じゃあ、オコチャマ達のおもりは悪いけど綾乃ちゃんにお願いして、私達はお姉さんチームとしてがんばりましょう!」

満面の笑みを作ってすみれちゃん達の方に向き直ると

「うぅ・・・・・・・」

「え・・・・・・・」

って・・・なによその露骨に嫌そうな顔は

「・・・だって奈々子さんじゃ・・・・」

「城之内先輩・・・やっぱり料理とか・・・無理ですよね?」

むがーっ!!!なーにがだってにやっぱりじゃーっ!!!

「いいからっ早く用意しなさいっ!!!」

こーなりゃ地縛霊さまの恐ろしさ目に物みせてくれるわぁああああ!!!

こうして料理バトルの火蓋が切って落とされた




3.激突3on3!





(解説朔夜)

奈々子さんに言われた通りに坂下のスーパーまで買い物に行って来た

坂下とは言うけど実際のところ中学校は坂というか、ちょっとした山の上にあるのといった方が正確なぐらいなので、買い物といってもそれなりに大変だったりする。

まあ、田舎だから仕方ないけど・・・・・・

しかも、渡されたメモに書かれた商品は結構沢山あって、おまけにペットボトルなど結構重い物ばっかりだったので、戻ってくるまで小一時間の立派なトレーニングになってしまった

「あ゛〜〜〜〜づがれたぁああ〜〜〜」

両手いっぱいのビニール袋4つを教員食堂のテーブルに置くと、イスに身を投げ出すように腰掛けた

まぁ・・・一回戦で負けた僕は、午後の試合は無いからどれだけ体力を消費しても確かに問題ではないんだけど・・・

まぁお昼ご飯もみんなに作ってもらえるそうだし、それこそ例え食べ過ぎても午後には影響しないしね。

えーと皆いないけどまだ作ってるのかな?そういえば厨房の方から声が聞こえてきてる



「弥生ちゃんそんなに緊張しちゃだめよ、大丈夫肩の力抜いて・・・そうそう」

これは綾乃ちゃんの声だ

綾乃ちゃんは良くご飯やお弁当を作ってくれるけどいつも美味しい。

弥生ちゃんに料理を教えてあげてるのかな?

「かっ神楽ちゃん!!あぶないっ!」

「うわー手ぇ切ったーぁあああああぁぁ」

すみれちゃんらしき悲鳴と神楽ちゃんの叫びが交錯する、だ・・・ダイジョブかな?とその時、

「流花ちゃん焦げてるっ」

「うわあああ」

今度は弥生ちゃんと流花の悲鳴が響く!!

る、流花が料理?あいつは多分インスタントコーヒーだって淹れられないぞ・・・なんか不安になってきた・・・・・

「・・・うにゃあああ!奈々子さんっ!!お米をママレモンで洗っちゃだめぇーーーーーーーー(泣」

ネコ少女?の悲鳴があがる、いや、すみれちゃんかな?そういえば二人の声って結構似てるよね・・・・・・・

いやいやいやそんな事より・・・奈々子さん正気?

「・・・・・・・・・・」



あー・・・・えーと・・・体は大事だし帰っちゃ駄目かな?



30分程して調理室の扉が開いてエプロン姿の皆が出てきた

「いやーお腹ペコペコで待ちくたびれちゃったよ〜」

笑いながらそう皆に声をかける

ん?・・・ちょっと様子がへんだぞ。


料理ワゴンを押して綾乃ちゃん、流花、弥生ちゃんの3人は窓側のテーブル、神楽ちゃん、ネコ少女、奈々子さんが入り口側のテーブルにそれぞれ陣取る。

「いや、ほらお昼ご飯なんだからみんなで一緒にこの一番大きいテーブルで・・・!」

そこまで言ってその場の空気に息を呑んだ、無言だけどなんか明らかに両サイドから対立するオーラが出てる・・・

この感じは・・・・・・料理漫画?何コレ?

「えと・・・コレは・・・一体・・・」

険悪な空気に汗ジトになりながら事情の説明を求めてみようとするけれど、

「それじゃ最初に言った通りそれぞれ一人一品の3品勝負で文句無いわね!」

僕の言葉なんかお構いなしに、綾乃ちゃんが反対サイドの3人を指差して叫ぶ

「おーよ!そっちこそ後から文句言うなよ!」

それに呼応し神楽ちゃんが立ち上がって吼える

「ええと・・・勝負ってあの・・・」



4.ROUND1 神楽VS綾乃




「んじゃ最初はあたしからっ!」

気圧される間もなく神楽ちゃんがどかどかとやってくる

そしてドンッっとグラスが目の前に置かれた

なん・・・だろう、みどりっぽいドロドロとした液体・・・・・・・なんか少し泡立ってる?

「えと・・・これは?」

おそるおそる尋ねると、

「特性プロテインドリンクさ!」

「ぷ、プロテインドリンク?」

胸をはって自慢げな神楽ちゃん。

いや・・・そうきたか・・・・・・・

「ソレのどこが料理だ〜!」

「お昼ごはんにプロテインドリンクって・・・」

流花と弥生ちゃんから非難の声が上がる

「茹でた鳥のササミに卵白、黄な粉に豆乳にバナナにりんご!それだけじゃお昼ごはんとして栄養バランスが悪いから今日は特別ほうれん草も一緒にミキサーにかけてみたさ!」

外野の声などお構いなしにレシピを説明してくれる神楽ちゃん

「まじっすか・・・」

目の前の液体の正体を聞いて、そのドロドロ感がより一層増したような錯覚が・・・・・・・・

「あれ、朔夜ほうれん草嫌いだった?」

しまったかなという様な顔で神楽ちゃんが聞いてくる

「いや・・・そんな事はないけど・・・」

もうほうれん草が嫌いとかそういうレベルの話では無いと思うんだ

「ちゃんと茹でて灰汁抜きしてるから大丈夫だって、さあぐぐっと」

これはもう覚悟を決めるしかないか・・・えーいままよ!

腰に手をあてぐいっとグラスを煽る

「!!・・うっくっくっっくぅ・・・・・・・ぐはぁ」

の、飲みきったぞ!まぁ果物が多かったのか思ったよりはマシだったけど・・・・・これは結構キツイ・・・・・

「どうだった?」

屈託無く聞いてくる神楽ちゃん。

「いや・・・その・・・独創的だったかなぁ」

コメントに困っていると

「ん〜?質のいい蛋白源ばかり集めた筈だけどなぁ」

そう言って僕の手からグラスをひょいと取ると躊躇無く底に残った液体を煽る神楽ちゃん。

「わーっ!!」

「ああああっ!」

「にゃぁあああっ!!」

周りから叫び声があがる。・・・??なに何事?あ、もしかして間接・・・と、

「げふっっげほげほげほっ」

激しく咳き込む神楽ちゃん。

「げほけほ・・・いやーこれ超まっずいなぁ!びっくりだよ!」

涙目になりながらも直球な物言いの神楽ちゃん。・・・えと、作ったのはあなたですよね?

「あー、ほうれん草を追加で入れたのが失敗だよな・・・しっかし朔夜良くこんなの飲んだなー」

まるで他人事のように言いながら口をタオルで拭う神楽ちゃん。

「・・・・・」

「そっかー朔夜腹ペコって言ってたもんなー。やっぱ空腹は最高の調味料ってやつかぁ」

勝手な事を言って一人でうんうんと納得してる

「・・・・・・・・・」

「はいはい、もういいからどいたどいた、お口直しは朔夜くんの大好物よ」

今度は綾乃ちゃんが割って入ってきた。

「はい!すぺしゃるカツサンド!紅茶と一緒にどーぞ」

おお!綾乃ちゃんの料理はなんでもおいしいけど、特にこのカツサンドは絶品なんだよね

食べやすそうに切り分けたサンドイッチがチェックの紙ナプキンをひいたお皿の上に綺麗に並んでる

さてさて、では、いただきまーす・・・うんコレコレ!

揚げたてサクサクの目の細かい衣のカツと、しゃっきりしたレタスにほんの少しのマヨネーズが合わせたこくまろソースが絡んでて・・・

「どう?朔夜君おいしい?」

綾乃ちゃんの問いに、ウンウンとうなずきながらバクバクとかぶりつき、口いっぱいに広がるカツサンドの香りと味を堪能しつつ胃に落とし込んでいく

お腹も喜んでるって感じだね。食べる幸せって言うのかな?

あらかた食べ終わった頃合を見て、綾乃ちゃんがハーブティーを淹れてくれる

真っ赤なこれはローズヒップとハイビスカスのブレンド。

さわやかな酸味がこってり系の食事に後にも良く似合う

綾乃ちゃんは大の紅茶好きで家に遊びに行くたびに色んな紅茶を淹れてくれるんだ

おかげで僕も結構紅茶には詳しくなったし。


そんな事はさて置き、よいよいよいぞ!いやはや、予は満足である!

「・・・それで、どっちが美味しかった?」

綾乃ちゃんが聞いてくる、え?そりゃ綾乃ちゃんのカツサンドに決まってるけど、それを言っっちゃ・・・

「なんて、聞くまでもなかったかしら、ねぇ神楽ちゃん?」

口ごもる僕を尻目にふふんと神楽ちゃんに目を向ける綾乃ちゃん

「・・・まぁいいさ」

ふんだ、とソッポを向く神楽ちゃん、何コレ?対戦なの?

「一応ルールだから見せなくても良いけどそれぞれ点数つけておいてね」

綾乃ちゃんに採点表らしき紙を渡されたけど、なんか気が引けるなぁ

対立構造に巻き込まれるのは嫌だけど仕方が無いので点をつけてみる、

えーと神楽ちゃんのプロテインドリンクは・・・美味しくは無いけど、体には良さそうだったし・・・65点ぐらいならあげてもいいかな

綾乃ちゃんのカツサンドはこれはもう100点でしょ

とりあえず採点を小さく書き込んでおく、でもあんまり見せたくないなぁ



5.ROUND2 弥生VSネコ少女




「それじゃ次は私です!」

そういってエプロン姿の弥生ちゃんがお皿を運んでくる、えーとこれはオムレツいやオムライスかな?

パセリとプチトマトが添えてあって薄焼き卵の皮も結構綺麗に出来てる

子供っぽいというか女の子らしいというか、可愛らしい感じは弥生ちゃんっぽいかな。

「それじゃいただき・・・」

スプーンに手をかけると

「あ、ちょっと待ってください」

そう言ってケチャップのチューブを持ってくる弥生ちゃん。

ああ、そうそう、ケチャップがあると色どりが綺麗だよね

「んしょ・・・」

プレーンなオムライスにケチャップのチューブを絞る弥生ちゃん・・・ん?何かの模様かな・・・えーと、ありゃ・・・ハートマーク・・・

「や、弥生ちゃん?!」

「なんじゃそりゃー!!!」

何故か味方サイドから挙がる怒声を無視して綺麗なハート書き上げると、

「お兄さん、どうぞ」

少し頬を赤くしてお皿を渡される。

いや・・・その・・・嬉しいけど照れるね・・・・・・でも、そんな表情で出されると・・・・・


やっぱり、みんなぼくを睨んでいる・・・・・・

「いやあ、ははは、あ・・・いや、それじゃいただきます」

周囲の突き刺さるような視線に気づいて、居住まいを正しまじめな声を出してハートフルなオムライスに向かう

さっくりとスプーンを入れチキンライスにケチャップを少し絡めて口に運ぶ

うん、取り立てて変わった事は無いけど普通に美味しいや。弥生ちゃん中々やるなぁ

個人的には卵が半熟っぽい方が好きだけどコレはコレで。贅沢な感想を持ちながらもはくはくと完食。

「どうでした?」

心配そうに聞いてくる弥生ちゃん

「え、いや、美味しかったよ」

素直にそう言うと

「ホントに!」

パッと表情が明るくなる。小さくガッツポーズをしてるトコがまた可愛いよね。・・・あ

またもや周囲の刺さるような視線が

「そ、それじゃ次いってみよう〜って事で・・・」

慌てて次に逃げようとすると

「あ、お待たせしました」

グッドタイミングで厨房からネコ少女がお皿を運んで来た、今まで作ってたのかな?

今度は何だろうと見てみると、スープかな?・・・いや、スープスパゲッティだ。

どうやら時間を合わせてパスタを茹でてくれてたみたい。

きれいに盛り付けられたパスタ、このいい香りは月桂樹の葉だっけ?中々本格的だ

「暖かいうちにどうぞ」

笑顔で言うネコ少女。なんか本当のお店みたいだな。

「それじゃいただきます」

まずはスープをと・・・!!!

こっこれは・・・!トマトのやわらかなコクと玉葱の豊かな味わいとセロリの爽やかさが交じり合って絶妙のバランス!

パスタをフォークで巻き取って口に運ぶ、まさに髪の毛一本分の芯を残した完璧なアルデンテ!

パスタに良く絡んだスープからバジルとローレルの香りが口の中ふっと広がりそれと同時に豊かな味わいが鼻に抜ける

「んん〜〜〜〜」

思わず溜息がもれる。これはホントにびっくりするぐらい美味しい。

夢中で絶品パスタを堪能していると、ネコ少女は厨房に戻って何かを持ってきた。

陶器の容器からシュークリームみたいな何かが膨らんでる、あったかそうだ


「キノコのチーズスフレです、こちらも焼きたてを是非どうぞ」

スフレ?なんだろう?初めて見る

シュークリーム状の皮にスプーンを入れる、予想していたよりずっと柔らかく軽くすっとスプーンが通る

では・・・

「むふ〜〜〜〜!」

なんというフワフワ!!、チーズがキノコの香りと一緒に口の中に広がってすっと溶けるように消える。

とろけて消えるシュワシュワ感がたまらない

空気を織り込んだ凄く軽いグラタンみたいな?これがスフレか・・・恐るべし・・・

溜息しかでないまま完食。

既に結構満腹だった筈なのにこの満足感。

「いかがでした?」

レモンを切った水を入れてくれながら尋ねてくるネコ少女

「いやもう・・・ほんっっとにおいしかった・・・ありがとう!」

嘘偽らざる心境をそのまま伝えると

「ふふよかったぁ・・・・あ!、でもコレ私というか、えと、すみれちゃんが作ったんです!」

嬉しそうな声を上げたと思ったら慌てたようにそんな事を言い出した

「え?あれ?え?そなの?」

状況が今ひとつ掴めず間抜けな声が出てしまう。

「あ、あの、彼女ちょっと用事があって戻らなくちゃいけなくなったみたいなんですけど、だから私が少し手伝っただけで・・・」

そういえばすみれちゃん居ないな

「ああ、そうなんだ、じゃあ今度あったらすみれちゃんにもお礼言っとくよ」

「はい!そうしてあげて下さい!」

なんだか嬉しそうなネコ少女、マスク被ってる事を抜きにしてもちょっと不思議というか変な子だよな・・・

「な、朔夜!すみれの料理はサイコーだろっ!!」

と、神楽ちゃんがこれまた嬉しそうに話しかけてきた

「え?ああ、凄くおいしかった!ビックリしたよ」

何故か自慢げな神楽ちゃんにそういうと

「そうだろそうだろ!!はっはー!どーだみたかー!!」

綾乃ちゃん達を指さして言い放つ神楽ちゃん

「うぐぐ・・・」

「だまれこの脳みそプロテイン女!」

「なんであんたが自慢げなのよ!」

当然罵声が返ってくる、けど

「まぁいいや、じゃ朔夜採点よろしくな」

ポンと肩を叩いて席に戻る神楽ちゃん。

できればあんまり争いの空気は醸成しないで欲しいんだけど・・・

それはともかく採点するとなるとえーと・・・弥生ちゃんのオムライスは普通に美味しかったからそうだな・・・85点ぐらい

ネコ少女、じゃなかったすみれちゃんのパスタとスフレは、これはもう100点満点じゃ足りない!120点満点って感じ?

キコキコと採点を書き込む。

合計点でもいい勝負だしこれは中々名審査員なのではなどと悦に入ってみる。

そうすると、あとは流花と奈々子さんの一騎打ちで決まると・・・・・・ぅえ?

流花と奈々子さんの料理!?




6.ハルマゲドン1〜魔王ルカエル登場〜




なんだかとっても嫌な予感。正直もう十分お腹いっぱいでこれ以上の食事は要らないし、自分の体は自分で守らないと・・・

「えーと」

声を出そうとすると

「大体つるぺたのお子ちゃまが料理なんてね〜オママゴトでちゅか?みたいな?」

はん、ヤレヤレ、と小ばかにした風に両手を広げ横を向く奈々子さん

「なにおー!バカには負けないぞー!!」

物凄い直球でやり返す流花

「だ、だれがバカよっ!このチンチクリン!!」

「これから大きくなるもんっ!オバハンと違って!!」

激しく火花を散らす二人。

あー・・・声をかける隙が全く無いや・・・ってことは


「勝負!!」


ドンッッ!!


二人のお皿が同時に目の前に置かれる。ああこれでもう逃げられないのか・・・はは。

ええと・・・流花の何ともオーガニックな形の茶色の平べったい板が重なったコレは・・・

「えと瓦煎餅?」

「ホットケーキ!!」

ああ、サイでしたか・・・お兄ちゃん全然わからなかったよ、だってちっとも丸くないし明らかに固そうで何故かコゲ茶なんだもん・・・

で、奈々子さんの方は・・・なんか消化に良さそうな風体のこの物体は・・・お米か・・・って事は

「なるほど洋風のおじやですか」

「チャーハンよっ!!」

ありゃま・・・・・・・・・・・自分今までチャーハンの擬態語ってパラパラだと思ってたですよ・・・・・・・・ネロネロってのもあるんですね。

大変勉強になりました


あっはっはっ現実って奴はいつだって想像の上を軽々と超えていくんだもんなぁ。

自分のちっぽけさをしみじみ感じる今日この頃皆様いかがお過ごしですか?

えーそんな事はさておきやっぱり僕がこの面白げな物体を食べるワケですか?そうですか、そうですよね、はっはっはっT^T

「おにいちゃんっ!!」

「朔夜君っ!!」

イカンイカン。あまりの事にちょっと精神が逃避行してしまった。

食べますよ!食べりゃいいんでしょ!!


んじゃまずは流花の瓦煎餅風ホットケーキから、

全くホットケーキに見えない所も凄いけどまぁ所詮粉物、いくら流花でもそんなに不味くも作れまい

出来る事ならメープルシロップとかあると楽だったかもしれないけど。

「えーと流花のホットケーキはプレーンか。まぁ素材本来の味が生きてさっぱりしてて良いかもね」

精一杯のお世辞を言ってて取り掛かろうとすると

「ふっふっふっ・・・そういうと思ってちゃーんとこんなのも作ってたのよ!・・・じゃじゃーん!!」

自前の擬音と供に傍らにあったホーロー鍋のフタを開ける流花

鍋の中には茶色っぽいなんだかドロっとした物体が。

じゃじゃーんというよりもジョジョばりのにゴゴゴゴゴとかの擬音が似合ってる気が

「る、流花さんコレは?」

怪しげな物体にビビリつつ恐る恐る訪ねてみると

「ふふふ、これぞ本日の真打!流花特性フルーツソース!!」

「ふ、ふるうつ?」

「そ!お兄ちゃん果物大好きでしょ?」

ふるーつそーすと紹介された異形の物体を良く見ると色んなカタマリが見える

何故か基本的に茶色いそのカタマリをヨクヨクみると

・・・あれはパイナップル?,そんでそのデロっとしてるのは,バナナか!?でその網目模様みたいなのは・・・まさかメロン!?(皮ごと)

「ほら、スイカにレモンにゆずも入ってるよ!!」

ああ、そのSunkistって書いてある奴はレモンの皮でしたか

・・・・いやもう何といっていいのやら・・・

一つ分かったのはウチの妹は果物の皮を剥くという概念が無いって事ぐらいかなぁ・・・スイカの皮とか僕はカブトムシか?

「それから!」

まだあるんですか・・・もう勘弁して

「隠し味にたっぷりのフルーツトマトで超ヘルシー!」

・・・うおおおおん!・・・ヘルシーとかもうどうでもいーし、たっぷり使ったらそれは隠し味じゃないし、そもそもフルーツトマトはフルーツじゃないだろう!!

・・・ううっでもなんで皆茶色なんだよ・・・

「フレッシュフルーツのコーヒー煮込みソースだよ」

実妹の言葉の暴力の前に意識が朦朧と・・・イカンイカンとにもかくにもこのソースは丁重にご遠慮申し上げないと。

さてコレを食べないでこの場を切り抜ける方法は・・・

1.ハンサムの朔夜君は突如この場を切り抜けるアイデアがひらめく

2.仲間が助けてくれる

3.かわせない、現実は非情である

僕としては2に期待したいところだが・・・

流花のチームメイトの筈の綾乃ちゃんは何故かコッチと目を合わせようとしないし

弥生ちゃんにいたっては流花との差をアピールできたのからか何故だか得意げですらある

チームプレイはどうしたんだこらぁああああ!!!ちゃんと指導しろぉおおお!!!

駄目だこりゃ・・・そうなると答えはやっぱり1だな


「いやぁ折角だけどもうお腹一杯だから今日はそのままプレーンな方が・・・」

必死に笑顔を作りながら素の瓦煎餅に手をのばそうとしたら

「これをたっぷりかけて〜!!」

ノォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!

儚い願いも空しくデロデロと瓦煎餅の上に特性ソースがぶっかけられた

終わった・・・完全に終わった・・・呆然とする僕にお構いなく

「仕上げに生クリームをトッピング!!」

ねりねりと搾り出される生クリーム・・・もう好きにして・・・

「ハイどうぞ!」

生クリームの頂上にさくらんぼをトッピングしてくれる流花


完全に○×△□と化した物体が目の前にこんもりと鎮座ませましている図に眩暈が・・・


答え−3.答え−3.答え−3.かわせない現実は非情である


成す術なくとってもイヤーンな選択肢が頭にちらつく・・・

これまでか・・・

「それじゃ・・・いただきます」

とりあえずてっぺんのサクランボを食べる。ああ、おいしいなぁ・・・遠い目をして窓の外を眺める

ポルポル君にはイギーやアブドゥルが居たのになぁ・・・

そんな事をぼんやり考えながらクリームと○×△ソースにまみれた瓦煎餅を口に運ぶ








!!!へぐぼはぁ・・・・!!!




7.ハルマゲドン2〜邪神ナナコルフォン降臨〜




(解説奈々子)

「げふっげふげふげふ・・・」

激しく咳き込む朔夜君

「ちょっと!おにいちゃんっ!!どゆことっ!!」

チンチクリンが朔夜君をガクガクとゆするけどヒューヒューと肩で息をして涙目になってるわ

まかり間違って美味しかったらどうしようとか思ったけどこれなら大丈夫ね!!

「はいはい、オコチャマは退場!」

じたばた暴れるオコチャマの首をつかんでポイっとどかす

「ハイお水」

涙目の朔夜君に水を渡す。ゴブゴブと水を飲み干し椅子の背もたれでぐったりする朔夜君

「なんだその態度は〜」

オコチャマが吼えてるわ。愉快愉快

「さ、オコチャマはほって置いて朔夜君口直しよ」

チンチクリンの面白スイーツをどかしてお手製チャーハンを出してあげる、これであたしの勝ちは確定的ね!

「はいどーぞ!」

「・・・・・・」

・・・?

「どうぞ」

「・・・・」

「・・・もしもし?」

「・・・・」

プルプルと首を横に振る朔夜君

「そんな物気持ち悪い物食べられるわけ無いじゃぁああああん!!」

チンチクリンが自分の事を棚上げして野次を入れてくる

「オコチャマは黙ってなさい!!ちょっと!!朔夜くんっ!!」

朔夜君につめよると

「だって・・奈々子さんコレ絶対チャーハン違う・・・」

そんな事を言い出したの!!

「料理は見た目じゃないのよ!大事なのは味!!」

聞き分けの無い朔夜君にそう言うと

「だってコレすっごいママレモンの臭いが・・・」

今度はそんな事を・・・ちっ

「気のせいよっ男の子が細かい事気にしないのっ」

「・・・だってママレモンってゴキブリでも殺すんですよ・・・」

「だーかーらー気のせいだって!!いいから早く」

「冷凍餃子でタイヘンな事になった人もいたし・・・」

あーもうゴチャゴチャと!食べさえすればあたしの勝ちなのよ!!

大体このまま手も付けなけりゃアタシの負けになるじゃない!!

「うう・・・」

・・・しかた無いわねこうなりゃ手段は問わないわ!

「あくまでも駄々を捏ねるなら・・・」

「な奈々子さん何を・・・」



自縛霊様の必殺奥義!!強制憑依っ!!



(うわーっ!!奈々子さんやめっ・・・)

(じたばたしても無駄よ引っ込んでなさい!)

(うあ・・・・・)



よし完全にのっとったわ。全く手間取らせるんじゃないわよ。

さてと、んん

「いやぁなんて冗談ですよ、流花のトンデモ料理の後だったんでつい!あっはっはこれは美味しそうだなあ!!」

満面の笑顔を作って周囲にアピール。

「それじゃ奈々子さんいただきます!」

さて、と、これで食べれば・・・・・・・・・・って近くで見るとコレ結構すごいわ・・・・・・例えるなら、はじけるレモンの香りのゲロ?って感じ?

・・・・・流石に我ながら心配になってきたわ・・・ホントに大丈夫かしら・・・

・・・えーいグダグダ言ってても仕方ないわ、女は度胸っ!!


パクっ・・・





・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・hsc場kjg氏鵜亜yhふぃqjんf;おいk;おjぷえ3!!!!!!!ふじこ!!!



げぷぽぁ!!



・・・・・・




8.リアルメイドさん登場


(朔夜)



「うえ?・・・あれ?」

奈々子さんに無理矢理体を乗っ取られて、無理矢理あの物体を食べさせられたかと思ったんだけど・・・あれ?

目の前を見ると奈々子さんが机に突っ込んでゲフゲフと蒸せてる・・・ああ・・・自分で食べてあまりのまずさに憑依が解けちゃったのか

舌に残る異常な違和感はあるけど、とりあえず全部吐き出したみたいだし、完全に乗っ取られてたから僕は味が良くわかんなかったのは不幸中の幸いか・・・・・・・


まぁ奈々子さんは自業自得以外の何者でもないよなぁ



とその時

「ハイハイ、馬鹿騒ぎはもうおしまいですよぉ」

パンパンと手を叩きながらドアから美奈子ちゃんが入ってきた

「ミナっ・・・そういやおまえ今まで何処に・・・」

と神楽ちゃんが聞くと

「こんな事なんじゃないかなーと思って色々と忙しかったんですよ、大体皆さんまだ何も食べてないんでしょう?」

あ!、という顔になる皆。そういえばそうだ。

ふーやれやれといったゼスチャーをする美奈子ちゃん。そして

「霞!入りなさい」

ドアの向こうにむかってそう声をかける、すると


「失礼します」

凛とした声が響いて女の人が大きなバスケットを下げて入ってきた

年は20才くらいかな?細身で170cmぐらいありそうな背の高い人だ。

切れ長の瞳が印象的な凄い美人さんだけど・・・ただ何よりも驚いたのはその人が全身メイド服だった事!

その霞さんだっけ?はあっけにとられるみんなにペコリとお辞儀をすると美奈子ちゃんの前にパタパタとかけていった

そして美奈子ちゃんの前に来るロングスカートをつまみ、さも当然といった風に跪くと美奈子ちゃんの手をとり甲にそっと口づけをした

「お待たせしました、お嬢様」


跪いたまま美奈子ちゃんの顔を見上げる霞さん。

「ん・・・急だった割には早かったじゃない?お茶は?」

霞さんの髪を撫でながら尋ねる美奈子ちゃん

「はい、マリアージュ・フレールのインペリアルをご用意しました」

潤んだような目で美奈子ちゃんを見上げながら答える霞さん

「あら、それはいいわね。たのしみ」

そういうと足元に寄り添う霞さんの頬からあごの下を優しく撫でる

「・・・あ」

頬を染めうっとりした表情の霞さん

・・・・・えーと何この人達?

なんかペットを撫でてるみたいに見えるのは気のせい?

いきなり妙な空気の二人に呆然とするみんな。

そんな周囲の様子に気付いたのか、撫でるてを止めると皆のほうに向き直る美奈子ちゃん

「みな・・こちゃん?あの・・・」

「誰・・・その人?」

綾乃ちゃんと流花がかろうじて口を開く、すると

「ああ〜ご紹介がまだでしたね、この子はウチでメイドをしてる霞ですぅ。ほら、霞皆さんにご挨拶なさい」

そういって美奈子ちゃんは霞さんを立ち上がらせる。並ぶと背の高さが結構違うのが良く分かる。

「はじめまして、飛鳥井霞と申します。いつも美奈子お嬢様が大変お世話になっております」

そういうと深々と頭を下げる霞さん。なんというか立ち振る舞いがすごく上品だ。これが本物のメイドさんか・・・

そういえば美奈子ちゃんのウチって物凄いお金持ちだったっけ、そんな事を考えていると、

「みなさんお食事がまだとの事でしたので簡単ですがお昼を用意させていただきました」

そう言って霞さんはテキパキと支度に取り掛かる

散らかっていたテーブルは瞬く間に片付けられキレイなテーブルクロスと食器に花瓶まで用意される。

そして、

クラブハウスサンドにサラダボウル、から揚げに、ゆかりのおにぎり、手巻き寿司、クラッカーのディップ、ローストビーフと海老シュウマイに生春巻きカットフルーツの盛り合わせ・・・

和洋中取り揃えた華やかなオードブルがバスケットの中から次々に登場する

「うわー!!」

「すご・・・」

周囲から感嘆の声が上がる。確かにこれはちょっとしたパーティみたいだ。それでいて肩肘をはるような重苦しさも無いし。

「これ・・・一人でつくったんですか?」

「はい、でも急ぎでしたので、あり合わせの物になってしまって皆さんのお口に合うかどうか」

綾乃ちゃんの問いにテキパキと作業をしながら柔らかな口調で答える霞さん。

美奈子ちゃんから連絡が入ってからこれだけの量を作って持ってきたのか・・・普通はあり得ないと思うところだけど

にこやかに微笑みながらも、オードブルの用意と同時に一分の無駄も無くお茶の用意をしていくその手際を見ると納得してしまう。

リアルメイドさん恐るべし。


まるで立食パーティのような華やかな食卓がものの5分で出来上がった。

「大変お待たせいたしました、お飲み物の用意もございますので、何なりとお申し付け下さいね」

霞さんはそう言ってもう一度深々とお辞儀をすると、テーブルから下がる。

「はぁ・・・・・」

「あ、ありがとうございます」

「えっと・・・」

「いただこっか」

顔を見合わせていたみんながテーブルに集まり、思い思いの料理に手を伸ばす。

「うわ・・お肉すごい柔らかい!」

「あつつ・・・ほのシュウマイ凄くジューシーでおいしい!!」

「あのクッキーみたいな奴ってなーに?」

「そのサンドイッチこっちにもとってよ」

「から揚げもやわらかーい」

きゃっきゃとはしゃぎ始めるみんな。さっきまでの対決ムードも何処へやら、色気より食い気、これが真の料理の力か・・・

僕は基本的にもうお腹一杯だけど、みんなが美味しそうに食べてるのを見るとなんかちょっと味見したくなってきたぞ、と

「ぼくも・・・」

そういって楽しげなテーブルに近づこうとすると

「何よお兄ちゃん?なんか用?」

「朔夜君にはもう必要ないでしょ」

もしゃもしゃと料理をほおばりながら背中を向けたままの流花と奈々子さんから冷たい声が飛んでくる

「いや・・その・・・あの・・・」

タジタジとなっていると

「奈々子ちゃんコレすっごくおいしー」

「うわぁ本当!」

なんかすごくわざとらしい会話をしてる二人

「大体今時料理で女の子の価値をみようだなんて前時代的なのよ」

「ほーんと、お兄ちゃんサイテー」

何故だか意気投合してヒジョーにトゲトゲしくお怒りのようだけ・・・、一体何を僕がしたというんだ・・・



9.手料理バンザイ




ドンっっ!!

突然目の前にお皿が置かれる

「へっ?」

飾り気の無い鉄の容器ってこれ犬の餌入れじゃ・・・置いた人の方を見ると、げっ・・・

「お腹に余裕があるならアンタには私の料理がまだ残ってますよ〜」

満面の笑顔の美奈子ちゃん・・・なんかイヤーンな予感が

「いや、その・・・」

口を開こうとした時美奈子ちゃんがビーカーと試験管を持ってるのが目に入った

「なに・・・それ・・・」

およそ食卓には似使わない湯気のような煙を発する妙な色の液体のソレにいやな予感は急上昇。

「えいっ」

何故か掛け声とともにそれぞれの中身を目の前の食器?に注ぐ美奈子ちゃん

ぼんっ!!

「うわっ」

にぶい音とともにもうもうと煙があがる。なんかすっぱい臭いが鼻を突く

「ケホケホケホ」

なっ何事・・・

「仕上げはこれです〜」

煙にむせているといつの間にかマスクをした美奈子ちゃんが、何やらムラサキの粉を振りか掛けてガラス棒で混ぜ混ぜしちゃってる・・・・・

まるで、なんだっけ、駄菓子屋にある「ねるねるねるね」みたい

「はい出来上がり」

テーレッテレー♪と目の前に現れたのは赤と黄緑のなんだろう・・・スライム?毒々しい色が目に痛い

「えっと・・・何コレ?」

素直にそう聞いてみると

「食べればわかるでしょ」

ヒジョーにそっけない答えが帰ってくる

「いや・・・だって・・・コレホントに食べ物?」

流石に理科実験の結果生まれたとしか思えない物体を食べる気には・・・

「だーいじょうぶ死んだりはしないから。残さず食べなさいよ」

そう言うとパタパタとみんなの輪の方に行ってしまった。


えーこれが流行のツンデレって奴?(違

しかし死んだりはしないって・・・それ以外の事は起きるって事じゃないの?と、その時・・・

「堀部様・・・」

後ろから小声でいきなり声を掛けられた。

ビックリして振り向くと声の主は霞さんだった。ほりべさまって僕の事?

「は・・・はい、なんでしょう」

どもりながら返事をすると

「お茶をお持ちいたしましたので」

そういって高そうなティーカップで紅茶を出してくれた

「あ、ありがとうございます。」

霞さんにかしこまってお礼を言うと、霞さんはみんなのテーブルの様子をチラと確認してから

「よろしければコチラもどうぞ」

と、料理を少しずつ取り分けたオードブルのお皿を出してくれた。

「あ、すいません、ありがとうございます」

細かい気遣いに感謝しつつ、楊枝のついた一口サイズのオードブルをいただく。

・・・ほほーこれは・・・ローストビーフも生春巻きもから揚げもどれも完璧にオイシイ。

みんなが夢中になるのも良くわかる

紅茶もベルガモットだっけ?すこし柑橘類の香りがしてすごく爽やか。

きっと良い葉っぱで淹れ方も上手なんだろう。

「どれもすごく美味しいです」

素直にそういうと

「これからもお嬢様の事よろしくおねがいいたしますね」

優しく微笑むと頭を下げる霞さん

「あ、いや、あの、こちらこそ」

あわてて頭を下げる僕、しかしあの美奈子ちゃんの関係者とは到底思えない人だなぁ

「・・・」

「・・・・?」

「あの・・・」

「ハイ?」

ちょっと考えるようなそぶりをしてから霞さんが口を開いた、

「その・・・ちょっとお願いがあるんですが」

「はい・・・何でしょう?」

お願いって・・・唐突になんだろう?

「えっと、その・・・それなんですけど」

そういって霞さんが指差したのは・・・美奈子ちゃんが作った赤と緑の物体

「あ゙・・・これ・・・」

思わず声が詰まる。一体これをどうしろと・・・まさかちゃんと全部食べろとか?

「あの、その出来ればそれを・・・」

いやいやいや、それだけは無理だって、こんなの食べたらどうなる事やら・・・

「・・・ゆずっていただけませんか?」

いやいやいやだから無理だってってば・・・はい?

「は?・・・あの、コレを?」

「はい、それを」

そんな真顔で見つめられても・・・いやまぁコッチとしては願ったりかなったりだけど、何故?ゴキブリ退治薬とか何かに転用するのかな?

「ええと・・・」

「どうかお願いします!!」

びっくりしていると深々と頭を下げられた、

「いやそんな、ちょっとそんなやめてください」

なんとか頭を上げてもらうと

「おねがいします、不躾なのはわかっています。でも・・・でも!!」

今度は手を取って懇願された。顔がめっちゃ近い、物凄い必死。

しかしこんな美人に手を握られてこんな間近でお願いされると顔が赤くなる。

「いや、その勿論喜んでお譲りしますから」

照れ隠しもあって手を放してもらうとお皿を差し出す。

「ありがとうございます!!このご恩は一生忘れません」

なんか大袈裟な感謝をされちゃったけど、こんな事で一生恩義を感じられてもなあ・・・でもどうやらあの顔は本気っぽい。

「ああ・・・・」

美奈子ちゃんが作った怪しげな物体を愛おしそうにうっとりと見つめる霞さん。

しかしあんなのどうする気なんだ?

と、思っているとおもむろにスプーンを手に取る霞さん。

は?え?・・・!?まさか・・・ちょまっっ!!




はむっ


うわぁあああああホントに食べたぁあああ!!!まじヤバイって!、と思うまもなく

「がふっ・・・ごふげふげふげふ!!!」

むせて咳き込む霞さん、ほらやっぱり言わんこっちゃない!

「だ、大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」

机に突っ伏し肩で息をしてる霞さんに聞くとけふけふと小さく咳をしつつゆらりと顔を起こす。

涙目というよりも最早ボロボロと泣いてる状態に近い。

「大丈夫ですか?お水いりますか?」

そう声をかけると、

「・・・・辛ニガすっぱーい・・・」

ふらふらとしながらつぶやく霞さん・・・どんな味だソレわ・・・

「あの、吐いて来た方がいいですよ?」

そう言うと、

「・・・ふ・・・うふ・・・・・うふふふふ」

視点のあってない目で笑い出す霞さん。やばい、脳がやられちゃったのかな?

「うふふ・・・お嬢様ったら色んな工夫されたんですね・・・うふふふ」

なんだか恍惚とした表情でそんな事を言ったかと思ったら、またスプーンですくった物体を口に運ぶ

「ちょ・・霞さん!?」

止めるまもなくぱくっと口に入れる。

「・・・ぅきゅー・・・・」

変な声を出してひきつったようになる霞さん、だからヤバイって!

「霞さん!ヤバイですよ、ホントに」

思わずコチラが悲鳴に近い声をあげると、口の中のヤバイ物体をこくんと飲みこみこちらにトロンとした目を向ける霞さん

「うふふ・・・お嬢様の・・・初めての手料理・・・・・・うふふふ」

そういってふらつく顔に満面の笑みを浮かべるととまたそのやばい物体を口に運ぶ。

うわぁああああ、この人危ないよぉおおお!!

とその時

「ちょ!!霞!!なにやってるの!」

美奈子ちゃんの声が響く

「えへへ・・・お嬢様のお料理を〜いただいてますぅ」

嬉しそうに答える霞さん、でもなんというかラリってる。怪しげな薬が入ってたんだろうな。

「ばかっ!!そんなものやめなさい、ぺっしなさいぺっ!」

霞さんから料理を取り上げようとする美奈子ちゃん、やっぱりヤバイ物だったんだね・・・

「なにするんですかぁ!!これは霞が堀部様にお願いしていただいた物です!!」

お皿を持って抵抗する霞さん

「いいからっ返しなさい!!」

お皿を奪い取ろうとする美奈子ちゃん

「絶対にいやです!」

そう言うと美奈子ちゃんが届かないよう、つま先だってお皿を片手で高く掲げてしまう霞さん。

そしてその姿勢のまま、頭上で物体をスプーンですくうと顔を上に向けまた物体をぱくつく。

「ぅきゅー・・・ああん、とっても、からにがすっぱーい」

なんというかもうアホの子丸出しの霞さん

「がー!!やめんかこんバカチン!!」

霞さんに掴みかかる美奈子ちゃん



どかーん!がちゃーん!

飛び散る食器


「ああああっ折角のお嬢様のお料理が床にっ」

悲鳴をあげて床にしゃがみ込む霞さん

「・・・って床に落ちたものまで手づかみでたべるなぁああ!!」

「うにゅー」

「ぺっしなさいぺっ!!」

「いやでふぅ」

なんかペットの拾い食いを叱る図みたい

「またおしおきされたいのっ!!」

「おしおき?・・・ハイ!されたいです!」

美奈子ちゃんに抱きつく霞さん

「こ・・この、ドM女がぁあああ!!」



どすんばたん

なんかどっかで見た画だな・・・立場がいつもとちょっと逆っぽいけど

なんにしてもみんな唖然

「・・・・まともな人に見えたんだけどな・・・」

神楽ちゃんの言葉がその場の空気を端的に表していた。




10.魚肉じゃないもん


え〜〜と・・・・まあーーー・・・・・・その・・・・

ラリった霞さんの暴走の所為で、料理バトルはなんだかウヤムヤに・・・・・・・

まぁ僕としては色んな意味で助かったけど。

霞さんは、美奈子ちゃんに取り押さえられたあともしばらくジタバタと抵抗していけど・・・・・・



1.今度美奈子ちゃんがちゃんとした手料理を作り直してあげる

2.今回の件のお仕置きは後でちゃんとしてもらえる


という二つの約束に納得して帰っていった。

フラフラしながらも後片付けは全部ちゃんとやっていったのは流石だったけど。

全部終わった後めずらしく美奈子ちゃんがグッタリしてたのが印象的だった

誰にでも苦手はあるのかな?



そんなこんなで後半戦、午後の部再開の為みんなで体育館にやってきた

ぶっちゃけ一回戦負けした僕らはもう試合が無いので緊張感に欠けるところもあるんだけど、それをいっちゃおしまいだ。

出来る限り試合を盛り上げていく為に、裏方としてしっかり協力しないと

「えーですよね、奈々子さん」

とりあえずそのような事を話しかけると

「え?あ?別に何でもいーんじゃない?」

この人はまた適当な返事を・・・なんていうか争いのエネルギーを吸収して満腹で眠そうって感じかな?ええい此処はぼくが頑張らないと

「わかりました、じゃあこの試合は僕が仕切りますので、次は奈々子さんお願いしますよ」

そう言うと

「それじゃ始めよう!」

とみんなに声をかける、まぁたまには僕も前に出ないとね

「えーとそれじゃレフリーは・・・」

もう試合の無い人でまだレフリーやってないとなると・・・

「神楽ちゃん、レフリー頼める?」

ここで僕がやると言うと美奈子ちゃんがブーブー言うのは目に見えていたので、神楽ちゃんにそう聞いてみる

「え?ああ・・・別にいいけど」

と神楽ちゃん。

よし、決まりだ。

「よし、じゃぁ時間も押し気味だし、始めるぞ かわもっちもミナもアップは済んでる?」

と神楽ちゃん

「いつでも!」

「はーい」


リングにあがりジャージを脱ぐふたり

「おねえさまぁん早くボディチェックしてぇ」

美奈子ちゃんがキャイキャイとはしゃぐ

「う・・・」

その様子を見て固まる神楽ちゃん

「はやくぅぅん」

くねくねと神楽ちゃんを誘う美奈子ちゃん

渋い顔をしつつ、神楽ちゃんは仕方なさそうにボディチェックをはじめる

「あんっ、やん、あーん」

神楽ちゃんが触れる度にワザとらしい悲鳴をあげる美奈子ちゃん

「ばっこのばか!おとなしくしてろっ」

怒る神楽ちゃん

「やーんお触りするからおとなしくしろだなんてお姉さまのエッチぃ」

「だれがエッチだ!!あーもうOKOK!」

これ以上係わりたくないとばかりにOKを出す神楽ちゃん

「あん、もっと深く調べてくれなきゃだぁめ」

離れようとした神楽ちゃんの手を取り、自分の胸に宛がうと腰に手を回し神楽ちゃんに迫る美奈子ちゃん

「は、放せっ」

振り払おうとした神楽ちゃんのもう片手を今度は股に挟みこんで動きを封じる

「あん、お姉さまそんなに強くしちゃいやん」

「はっはなせー」

振りほどこうともがく神楽ちゃんに、絶妙のタイミングで足を引っ掛けるとそのまま押し倒す。

あーあまたキスしてるよ・・・

なんというか一連の動作に全く無駄の無い計算された動きというか・・・一体美奈子ちゃん普段どんな訓練してるんだ?

「いい加減にしろっ!!」

ごちん!!

神楽ちゃんのげんこつが炸裂

「いたいですぅ」

頭を押さえてうずくまる美奈子ちゃん。なんというお約束・・・

「こ、今度からレフリーに対する暴力行為は反則をとるからなっ」

肩で息をきらしながら半分涙目の神楽ちゃんが言う、あんな目にあっても今度からと言っちゃうあたり神楽ちゃん真面目だよね

「ちえ・・・」

拗ねた様な声を出すと頭を掻きながら起き上がる美奈子ちゃん

「これから試合なんだからちょっとは真剣にやれ!」

真面目にお説教をする神楽ちゃん

「試合ねぇ・・・」


美奈子ちゃん詰まらなそうに言うと対戦相手の弥生ちゃんの方を見る

「・・・・・・・・ぃぅ゙」

視線を合わせられた弥生ちゃんは明らかにドン引き

まぁ・・・これから美奈子ちゃんと試合しなきゃならないワケだからねぇ

ジロジロと品定めするように弥生ちゃんを眺める美奈子ちゃん

「・・・・・・うぅっ」

思わず体を隠すようなポーズで後ずさりする弥生ちゃん、と

「はぁあああああ〜」

物凄く落胆した様子で深い溜息をつくと手を軽くあげ頭を左右に振る美奈子ちゃん

「なっ・・・なんですか!」

その態度に思わず声をあげる弥生ちゃん。すると

「もーう超ガッカリですぅ・・・何ですかぁこのチンチクリンは?」


やれやれと言った風にそんな事を言い出す美奈子ちゃん

「なっ・・・・!!」

「だーって本当だったら今からセクシーダイナマイツな奈々子お姉さまと試合出来る筈だったのにぃ、フタを開けたらコレだなんてぇ・・・」

弥生ちゃんに構わず言葉を続ける美奈子ちゃん

「な〜んて言うの?極上の松坂牛フィレミニョンをミディアムレアでオーダーした筈なのに出てきたのはBIGカツ(30円*)だった的な感じ?もう超ありえなーい!!」







(参考資料A:フィレミニョンステーキ)



(参考資料B:ビッグカツ)








「・・・・くこふっ」

ビッグカツの例え話がツボに入ったらしく、後ろを向いて小刻みに震えだす神楽ちゃん

必死に笑いを堪えてる風だ

「魚肉のすり身かよ!お肉ですら無いじゃん!!みたいな?」

怒りでワナワナと震える弥生ちゃんを尻目に、さらに饒舌に拍車がかかる美奈子ちゃん

「そのビッグカツがいっちょ前のご馳走面して、胸隠してみたりとかどんだけ自意識過剰〜って感じだしぃ〜〜、馬鹿じゃないの?」

もう言いたい放題

「・・・こ・・・コロス」

弥生ちゃんから立ち昇る殺意の波動が見えるようだ・・・

「まぁビッグカツをちょいちょいっと片付ければ、その次はまたご馳走だからいーですけど♪」

そういって綾乃ちゃんとネコ少女の方に目を向ける美奈子ちゃん。

既に弥生ちゃんは眼中にないみたいだ

「・・・・ボコボコにして泣かして土下座させてやる・・・」

怒り心頭で恐ろしい事を言い出す弥生ちゃん、それを聞いた美奈子ちゃんは

「ん〜?・・・まぁ今はチンチクリンでもその内育つかもしれないですし、今のうちにきっちり躾をして身の程を判らせて置くのも大事な事かもぉ〜〜」

面白いといった感じでこちらもなんだかやる気になってる

「ああ、もう二人とも!これは試合なんだからスポーツマンシップにのっとってだな・・・」

神楽ちゃんが二人に真面目なお説教をしてるけど、もはや二人とも殆ど聞いてなさそう・・・・

片や一方的な試合運びで神楽ちゃんを弄び余裕を見せてつけて完勝した美奈子ちゃん

片や優勝候補筆頭の奈々子さんを一撃で沈め、勢いに乗る弥生ちゃん

この試合どうなるんだろう・・・

「・・・・と言う訳だ。わかった?それじゃ、はじめるぞ!!ふたりとも準備はOK?」

「いつでもいいですよ」

怒りからか闘志がギラギラしている弥生ちゃん

「ミナもOKですぅ〜〜♪」

美奈子ちゃんは、いつものサディスティックな表情になっている

「それじゃあ・・・分かれて」

二人を各コーナーに分ける神楽ちゃん

「えーと、では、第2回SWGPトーナメント準決勝第一試合、川本弥生 VS 四条美奈子を始めます」

神楽ちゃんが両手をを大きく広げる

「レディー!・・・ファイッ!!」

神楽ちゃんの掛け声に合わせ死闘開始のゴングが鳴った!




11.準決勝第一試合 弥生 vs 美奈子






「たああああああああ!!!」

あ!いきなり弥生ちゃんが、美奈子ちゃんに奇襲をかけた!!

ジャンプしての前蹴りだ!

しかし、

「おーっと」

美奈子ちゃんは、それを予測していたのかあっさりとかわす

それにつづき、左の後ろ廻し蹴り!

これも美奈子ちゃんはスゥエーバックでかわす

「セイィッ!!」

左右の突きの連打!!

「ふふ〜ん・・・・聖拳塾の小学生チャンプはこんなものなのぉ〜?」

弥生ちゃんの突きの連打を、パシパシと払いのけながら、余裕の美奈子ちゃん

「甘いんだよっ!!」

パシイィィィ!!!

美奈子ちゃんの平手が、弥生ちゃんにヒット

「あうっ!!」

よろける弥生ちゃん

今の連続攻撃をあっさりとかわすなんて・・・・

神楽ちゃんとの試合のときもそうだけど、美奈子ちゃんはそうとう格闘の実力を持っているようだ・・・・・・・・





「どうしたのぉ〜? 本気でやらないと、相手にならないわよ〜〜♪」

優雅に髪をかきあげる

「く・・・・・」

ボクシングのように構えて、美奈子ちゃんに向かっていく

さっきと同じ、左右の突きで攻めていく

同じように美奈子ちゃんも、弥生ちゃんの突きを弾く

「セヤッ!」

右の下段回し蹴り!

「ふん♪」

美奈子ちゃんは、あっさりとガード!

すぐにミドルキックを返してきた!

「っ!!」

慌ててガードする弥生ちゃん

見た感じ、美奈子ちゃんってけっこう重い蹴りをするみたいだ

弥生ちゃんの表情が、少しばかりゆがむ

そして次の瞬間、美奈子ちゃんは弥生ちゃんに組み付いていった!

「あっ!!」

一瞬のことに、弥生ちゃんの反応が遅れる!

そして投げ技にいくのかと思ったけど、

「オラッ!!」

弥生ちゃんの首をつかんで、弥生ちゃんの腹に膝蹴りを叩き込んだ!!

「うぐっ!!」

苦悶の表情を浮かべる弥生ちゃん

それにつづき、美奈子ちゃんが肘を弥生ちゃんの背中に落とす!!

「あうっ!!」

弥生ちゃんが、バタリと倒れる

そんな弥生ちゃんを、美奈子ちゃんは冷たい目で見下ろし、

「聖拳塾のチャンプというから、どんなものかと思えば・・・・」

ドガッ!と、弥生ちゃんの背中を踏みつけた!

「うぐぅぅ・・・」

「エラソーな事も言ってるし少しは楽しめるとおもったのに〜〜」

更にもう一発!

「ぐうう・・・・」

「これじゃ、サンドバッグのかわりにしかならないですね〜〜」

美奈子ちゃんが足を上げる

そのとき、

「あつっ!!」

美奈子ちゃんの顔が少々ゆがみ、バランスを崩した

見ると、弥生ちゃんが美奈子ちゃんの足に正拳を打ち込んでいた!

そして、そのまま美奈子ちゃんの足に組み付いて倒す!

「く・・・」

あせる美奈子ちゃん

弥生ちゃんは、そのままグランドに持ち込もうとしているんだけど、

「弥生ちゃん、離れて!!」

ぼくは叫んだ

弥生ちゃんは、神楽ちゃんと同じ間違いをしようとしている

グランドに持ち込めば、神楽ちゃん同様に美奈子ちゃんの餌食になっちゃう




弥生ちゃんは、アキレス腱固めをしようとしているみたいだけど、美奈子ちゃんはすでに上体を起こしている

おそらく、マウントを取るつもりだ

「フ・・・」

美奈子ちゃんが薄い笑いを浮かべる

その時だった

「あぐっ!!」

美奈子ちゃんが鈍い悲鳴を上げて、後ろへと倒れた

弥生ちゃんが、右足で廻し蹴りのように美奈子ちゃんの顔を蹴ったようだ

「これで・・・・どうよ!!」

弥生ちゃんは立ち上がりながら、美奈子ちゃんのアキレス腱を極める

「くあああああああああああ!!!」

悲鳴を上げる美奈子ちゃん

「人を侮った事後悔させてやる!!」

弥生ちゃんは、美奈子ちゃんの背中を蹴る

「あう!!・・・・・くあああああ!!」

「美奈、ギブ?」

神楽ちゃんが聞く

でも、

「こ・・・これくらいで・・・・・・」

美奈子ちゃんが弥生ちゃんの足をつかんだ

そして、弥生ちゃんがさっきやったみたいに、足を振ってくる!

慌てかわす弥生ちゃん

「ギブなんかするか!!」

美奈子ちゃんの足が、弥生ちゃんの首を引っ掛ける

「な・・なにを・・・」

弥生ちゃんは、美奈子ちゃんの足を振りほどこうとする

でも振り払えるどころか、逆に体勢が悪くなってくる

おまけに美奈子ちゃんに足をつかまれた!

「このっ!!」

弥生ちゃんは美奈子ちゃんを蹴って振りほどこうとする

しかし、その体勢じゃ無理だ

弥生ちゃんのあがきに、美奈子ちゃんがニヤリと笑う

「あっ!!」

そしてついに美奈子ちゃんに倒された!

「ほ〜ら、すぐに形勢逆転♪」

弥生ちゃんにアキレス腱固めを極めた!!

「イヤアアアアア!!」

弥生ちゃんの顔がゆがむ

「蹴るんだ弥生ちゃん!!」

ぼくはすぐに弥生ちゃんに叫ぶ

「かわもっち、ギブ?」

「ノ・・ノーー!!」

弥生ちゃんは美奈子ちゃんに蹴りを放つ

しかし、顔面に放たれた蹴りは美奈子ちゃんにガードされた

「甘い甘い!」

美奈子ちゃんは、さらに力を入れる

「いたいーーー!!」

再び、弥生ちゃんの悲鳴が挙がる

その悲鳴と同時に、弥生ちゃんは美奈子ちゃんを蹴る

かかと落としだった!

「あくっ!」

美奈子ちゃんの足にヒット!

そして美奈子ちゃんの腕の力が弱ったところで、マットから跳ね上がる!


「おおおっ!!」

みんなが驚きの声を挙げた

弥生ちゃんは美奈子ちゃんに馬乗りになっていた

いわゆる、マウントポジション!!

「ふんっ!覚悟しなさいっ!」

勝利を確信した表情になる弥生ちゃん

これなら勝てる!

ぼくもそう確信した

「ヤアアアアア!!!」

弥生ちゃんの正拳が連続で振り下ろされる!

がむしゃらに殴るんじゃなく、空手の正拳!

これで終わりだ!!

そう思った、でも

「・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」

よく見ると、殴られているはずの美奈子ちゃんは、余裕の表情だ

それどころか、うっすらと笑みを浮かべている

そう、全部弥生ちゃんの突きを全部受け流しているんだ!

「っ!! 弥生ちゃん、突きじゃない! がむしゃらでもいい、いろんな角度で殴るんだ!」

ぼくは、弥生ちゃんに叫ぶ

「弥生ちゃん、押さえつけて!!」

そう指示を出す

「この・・・・無駄な抵抗を!」

弥生ちゃんはそれを理解し、美奈子ちゃんの腕を押さえつけようとする

「ふふん・・・」

逆に、美奈子ちゃんに腕をつかまれた

慌てて弥生ちゃんが殴ろうとするけど、


バキッ!!!!

「ぎゃっ!!」


弥生ちゃんに、美奈子ちゃんのパンチがヒットした!

同時に美奈子ちゃんが体をよじり、マウントポジションを返す

「弥生ちゃん、逃げてーーーー!!!」

流花が叫ぶ

しかし、弥生ちゃんが動くよりも早く美奈子ちゃんは弥生ちゃんの首に足を巻きつけた!

首四の字だ!!

「あぐぐぐぐぐ・・・・・」

顔をゆがめる弥生ちゃんに、

「さっきの威勢はどうしたのかな〜〜〜〜〜〜ってね!!!」



ガツッ!!!!



美奈子ちゃんのエルボーが、弥生ちゃんの脳天に決まった!




12.調教レッスン



「ぎゃっ・・・・・・・・」

がくっとなる弥生ちゃん

美奈子ちゃんは、首四の字をといて立ち上がる

「弥生ちゃん!!」

流花が叫んだ

しかし、弥生ちゃんはぐったりして動かない

「か、かわもっちゃん?」

神楽ちゃんが近づいていく

「神楽お姉さま〜〜〜〜、心配しなくても大丈夫ですよぉ〜〜〜〜♪」

美奈子ちゃんは、そう言うと弥生ちゃんの頭のつぼをいくつか押していく

「う・・・・・うう・・・・・・・・・」

弥生ちゃんが気付いたようだ

美奈子ちゃん・・・・・蘇生の仕方も知っているのか!?

「・・・・・・・・・・・・」

美奈子ちゃんに膝枕されながら、朦朧とした表情で天井を見ている


「かわもっちゃん、大丈夫?」

神楽ちゃんが弥生ちゃんに聞く

「あ・・・・・・」

意識がしっかりしないけど、なにか言おうとしている

「大丈夫ですよぉ〜〜〜まだまだいけるわよねぇ〜〜〜〜〜」

そう言うなり、美奈子ちゃんは弥生ちゃんにビンタ一発!

「きゃう!」

そして立ち上がる美奈子ちゃん

「さあ、立ちなさい! いくら素材がビッグカツとは言えこれじゃ料理にもならないじゃない」

弥生ちゃんから離れ、スッと立ち上がる

「まさか、この程度で終わらないわよね〜〜〜」

今度は妖艶な笑みで、挑発する美奈子ちゃん

「・・・・・・・・・・・・・・」

「かかってきなさい、おじょうちゃん、たっぷり躾てあげるから」

「私とひとつしか違わないのに、偉そうですね」


弥生ちゃんが言い返す

「もしかして、見た目と違ってかなり年食っているんですかっ?」

弥生ちゃんが、中段への足刀蹴りを放つ!!

「残念だけど、正真正銘の十二歳よ、発育にはかなり差があるけどっ」

あっさりかわし、右のローキックを放つ美奈子ちゃん

「がっ!!」

軸足を蹴られ、倒れる弥生ちゃん

ローキックが結構効いたらしく、足を押さえている

「やっぱりこの程度なんだぁ〜〜〜♪ もし私が聖拳塾の大会に出場したら、優勝まちがいなしね♪」

美奈子ちゃんは、ふふふ♪と笑うと、バシンッと弥生ちゃんの足を蹴った!

「あうっ!!」

抵抗できない弥生ちゃんは、身をよじるだけだった

「はいはい、立って立って」

つまらなさそうに言う美奈子ちゃん

「このぉ!!」

痛みを無視して、勢いよく立ち上がる弥生ちゃん

美奈子ちゃんはそれに満足そうに頷くと、

「さあ、いらっしゃーい」

美奈子ちゃんは手を出す

力比べを挑んでいる

「・・・・・・」

弥生ちゃんもそれに応じるつもりらしく、手を出していく

「弥生ちゃん、やめとけ!」

ぼくは叫ぶ

しかし、弥生ちゃんは美奈子ちゃんと手を握り合う

お互いが力を込めつつ頭上からぎりぎりと押し合いつつ手を下げていく

「のぉっ!!」

弥生ちゃんが一気に踏み込む、とじわじわと押し始めた

「くっ・・・」

美奈子ちゃんがじりじりと押されてる。なんとパワーは弥生ちゃんの方が上か?、とその時

「・・・思ったよりやるじゃない、でもぉっ」

崩れかけの体勢のまま押していた弥生ちゃんの圧力をがっちり受け止める美奈子ちゃん

弥生ちゃんも力を込めているようだけど動かない

「なにしてるのよ 力入れなさいよ」

「この・・・!」

さらに力を入れたようだけど、今度は逆に押され始めた

神楽ちゃんを軽々と担ぎ上げてたのは伊達じゃないとは思ってたけど、やっぱりパワーじゃ美奈子ちゃんの方が上だったか・・・

弥生ちゃんも11歳にしては相当強いとは思うんだけど

「こうするのよっ」

美奈子ちゃんが一気に力を込める

「うう・・・」

弥生ちゃんの上体が後ろへそらされる

「あらあら、よわいですねぇ〜〜〜〜〜」

そう言って、嫌らしい笑いを浮かべた後、



ドガッ



「うぐぅ!!」

弥生ちゃんをけり倒した!

「ほらほら〜〜〜〜」

弥生ちゃんの腕をつかんで起こし、ロープへと振った!

そして戻ってきた弥生ちゃんに、

「あぐぅぅぅぅ!!!」

チキンシンク!!

弥生ちゃんのお腹に、美奈子ちゃんの膝が突き刺さった!!

ばたりと倒れる弥生ちゃん

お腹を押さえて悶絶している

「この辺でやめておいたほうがよさそうですけどぉ〜〜 神楽お姉さま、止めますぅ?」

「や・・・弥生ちゃん、しっかりしろ!」

「ああー!お姉さま、ひいきはいけないんですよぉーー!」

弥生ちゃんを無視して、神楽ちゃんに詰め寄る美奈子ちゃん

「・・・・・・・・かは・・・・・・」

弥生ちゃんが微かに呼吸しながら立ち上がってきた

「ん〜?」

美奈子ちゃんが振り返る

「まだ頑張るんだぁ・・・あ、なんか美奈なんかスイッチ入っちゃったかも」

サディステイックな笑みを浮かべる美奈子ちゃん

「かは・・・・・かは・・・・」

立ち上がりはしたけど、まだ攻撃できないでいる

「遊んであげるから、さっさと呼吸を整えてかかってきなさ〜い」

コーナーにもたれかかる美奈子ちゃん

弥生ちゃんは静かに呼吸を整えていく

そして、

「いくわよーーー!!」

美奈子ちゃんへとダッシュする!

そしてエルボー!!

「甘いあま〜〜い」

ひょいとかわす美奈子ちゃん

弥生ちゃんはコーナーに激突!

「く・・・・」

しかし、すぐに美奈子ちゃんにむかって後ろ回し蹴り!

これも美奈子ちゃんは、あっさりかわす

「うふふ♪」

美奈子ちゃんがすばやく弥生ちゃんの目の前に踏み込んだ!

「いくよ♪」

美奈子ちゃんが弥生ちゃんを抱き締めた

同時に、後ろへとスープレックスで投げる!!

ノーザンライトスープレックス!!

「あああーーー!!」

これは効いたはずだ

美奈子ちゃんはすぐに起き上がる

「一からたっぷり調教してあげる」

そう言うなり、弥生ちゃんの左腕に腕ひしぎ十字固め!

「あああ!!」

「こんな地味な技は好きじゃないんだけどぉ〜〜 まぁ躾の一環だしぃ」

「くああああぁぁ・・・・」

逃げようとする弥生ちゃん

しかし、がっちり極まっていて逃げ出せない

「こ・・・・のぉ!!」

弥生ちゃんが、足を振り上げて美奈子ちゃんの肩の辺りを蹴る!

「うっ!」

美奈子ちゃんの腕が緩む

そして、ガンガンと美奈子ちゃんの腕を殴りまくる!!

「いたっ!なにすんのよっ!!」

美奈子ちゃんが足を振り上げ、かかと落としの体勢になるが、弥生ちゃんは横に転がって逃げる

そして二人とも立ち上がり、

「くらえ!!」

弥生ちゃんがドロップキック!!

「あぐっ!!」

吹っ飛ぶ美奈子ちゃん

「さっきのお返しです!!」

弥生ちゃんは美奈子ちゃんの腕をつかんで、腕ひしぎへ持っていこうとする!

「させるか!」

つかまれた右腕を、左手でガシッとつかむ美奈子ちゃん

「弥生ちゃんがんばれーー!」

流花が応援する

「力で勝てるわけないでしょうが!!」

美奈子ちゃんは、体をよじって膝をついた状態になる

そして、立ち上がって弥生ちゃんをその体勢のまま持ち上げようとした!


「おおおお!!!」

みんなが一斉に驚きの声を挙げた!

「弥生ちゃんを持ち上げた!?」

そう、本当に弥生ちゃんを持ち上げちゃったんだ!



13.ドミネーション・ハイ




「そ、そんな・・・・」

弥生ちゃんは美奈子ちゃんの首に足を絡みつけようとするけど、



ドンッ!!!



「あぐっ!!」

マットに叩きつけられた!!

それによって弥生ちゃんの腕が緩み、腕がはずされた

「ふふふ・・・・ざぁ〜んね〜〜〜ん♪」

弥生ちゃんの背中に、頭のほうから覆いかぶさる美奈子ちゃん

そして、胴体に腕を巻きつけて一気に持ち上げた!!

パイルドライバー!!

ゴスッと弥生ちゃんの頭がマットに突き刺さる!!

弥生ちゃんは悲鳴も挙げられず、そのままマットにうつぶせにダウン!

「弥生ちゃーーん!!」

流花が叫んだ

しかし、弥生ちゃんの反応がない

「・・・・・・・・う〜〜〜〜〜ん・・・・・・」

小さいうめき声が聴こえるだけだった

「これフォールするのは簡単ですけどぉそれじゃ躾にならないですからぁ」

そう言うと

「腕の次はやっぱり足かなー♪」

楽しそうに言うと弥生ちゃんの背中にどっかりと座る

そして片足を取ると

「よーいしょ」

呑気な掛け声とともに足を引き上げ体を絞り上げる

「ああああああああっ!!!」

片エビ固めで体を弓なりに絞られ絶叫する弥生ちゃん

「あはははははっ、良い悲鳴あげられるじゃなーい 」

楽しそうに笑う美奈子ちゃん。真性のサディストだ・・・

「かわもっちギブ?」

神楽ちゃんが確認する

「うう・・・の、ノーッ!!」

首を振って必死に叫ぶ弥生ちゃん

「そりゃそうですよぉお姉さまぁ、こんな詰まらない技でギブなんてありえないしぃ」

挑発を入れつつも締め上げ方自体明らかに手を抜いてる・・・どうやらまだまだ痛めつけるつもりらしい

しばらくの間、締め上げると弥生ちゃんに座ったまま手を放す美奈子ちゃん

「はぁはぁはぁはぁ・・・・」

マットに突っ伏したまま肩で息をする弥生ちゃん

「だらしないですねーそれじゃあ今度は反対のあしー♪」

そう言うと弥生ちゃんの逆の足をとり引き絞る!

「くああああああっっ!!」

またも響き渡る弥生ちゃんの悲鳴

「ん〜艶っぽいいい音色になってきたわぁ」

満足そうな美奈子ちゃん。

「弥生ちゃんっ!!」

流花が叫ぶけどどうしようも無い

「か、かわもっちギブ?」

神楽ちゃんが心配そうに確認するけど

「ノーッ!!」

首を振ってノーの意思表示をする弥生ちゃん。だけどこれじゃもう時間の問題だ、とその時

「よいしょっと」

突如弥生ちゃんを解放し立ち上がる美奈子ちゃん

「!?」

驚く神楽ちゃんに対し

「だってぇこんなのでギブされたちゃったら面白くないですからぁ、それとも戦意喪失でレフリーストップにしますぅ?」

にっこり笑ってそういう美奈子ちゃん

「かわもっち、もう・・・」

神楽ちゃんがマットに寝たままの弥生ちゃんを確認しにいく

「ま、まだ・・・」

体を起こし立ち上がろうとする弥生ちゃん

「んふふ、ですって♪お姉さま、この子まだ美奈に可愛がってもらいたいみたい」

そういうと神楽ちゃんを押しのけ弥生ちゃんの髪を掴む美奈子ちゃん

「お、おい、ちょっと!」

それでも食い下がる神楽ちゃんに対し

「心配しなくても大丈夫ですよ、怪我とかさせませんし美奈そういうの慣れてますからぁ、さっきだってお姉さまも何処も怪我しなかったでしょう?」

弥生ちゃんの髪を掴んだままそう言って、にっこり笑う美奈子ちゃん

どんな事に慣れてるんだ?この子は・・・・・

「う・・・」

思い当たる節があったのか口ごもる神楽ちゃんを尻目に

「まぁ、それでもそろそろレッスンも仕上げかなぁ?」

そういって弥生ちゃんの髪をつかんだまま強引に引きずり起こすと、ダブルアームスープレックスの体勢になって、膝で弥生ちゃんの顔をはさむ

そして、その体勢から後方へジャンプ!

あれはHHHのぺディグリー!!


ゴスッ!!

「むぐあぁっ!!!」

なんか、弥生ちゃんに似合わない変な悲鳴が聴こえた・・・・・・・・

これって・・・・・・やばいんじゃ・・・・・

弥生ちゃんはもう・・・うめき声すら上げていない・・・・・・・

「ふふん!」

美奈子ちゃんが弥生ちゃんを足で転がす

「これで起き上がれないでしょ? ・・・・・それじゃあ、お楽しみの時間よ」

何を考えたのか、美奈子ちゃんは弥生ちゃんの顔に座りこんだ!!!

あ・・・ああああれって・・・いいのかな?

「ちょっ・・・なにやってんだ!!!」

さすがに神楽ちゃんが止めに入る

しかし、


「これも立派な固め技ですぅ〜〜・・・お姉さまにはして差し上げられなかったですけど、今度たっぷりしてあげますからぁ」

腰をくねらせながら言う美奈子ちゃん、ご丁寧にフォールカウントを取られないように腕をとって肩をあげさせている

ジタバタともがく弥生ちゃん、あれじゃ窒息しちゃうよ!

と、その時

「はーい休憩〜」

そういうと、腰を少しずらせると弥生ちゃんに呼吸をさせる美奈子ちゃん

「がはっがはがは・・・」

涙を流しながらぜーぜーと息をする弥生ちゃん

「んふふ〜無様ねぇ、逆らってごめんなさい、私が馬鹿でした、許してくださいって言いなさい、そしたらラクにしてあげるから〜」

サディスティックな笑みを浮かべてそう言う美奈子ちゃん

「くっ・・だ、誰が・・・」

下から睨み付ける弥生ちゃん

「あら、そう」


特に動じた様子もなく弥生ちゃんの顔の上にどっかりと腰を下ろす美奈子ちゃん

「んぐんぅーーーーーーーーーーーっっ!!!」

声にならない弥生ちゃんの声が美奈子ちゃんのお尻の下からかすかに漏れている

なんとかどかそうと、手で押しのけようとも体をひねろうともびくともしない

「あんっ・・・さぁていつまで頑張れるかしら〜」

顔を上気させ腰をくねらせつつ楽しそうな美奈子ちゃん

「はい休憩・・・」

美奈子ちゃんがまた腰を上げ・・・・

「の反対♪」

すぐに腰を下ろした!

「ぐぐぅぅううーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!」

弥生ちゃんは苦しさと怒りがごちゃ混ぜになったような悲鳴を挙げる

これは逃げるの難しいぞ、あの状態で美奈子ちゃんを殴っても、効果なんかない

「美奈・・・もう許してやれよ!」

見かねた神楽ちゃんが声をあげる

「え〜お姉さまがそう言うなら、またこの子に聞いてみますけどぉ」

そう言うと美奈子ちゃんは少しだけ腰をずらして弥生ちゃんの口を解放する

「げふっけふけふけふっ・・・」

咳き込む弥生ちゃん

「かわもっちゃん・・・もう止めるよ!」

「あん、おねえさまったらぁ、急いじゃ駄目ですぅ、ホラ、言いたい事は?」

息も絶え絶えの弥生ちゃんの頭をバシッとはたいて、美奈子ちゃんが尋ねる

「・・・れが・・ぁんた・・な・・・かに」

「え〜何?聞こえなーい」

美奈子ちゃんが耳を近づけると・・・・・

「・・・ばーか・・・・」

弱弱しい笑みを浮かべ、かすれる声でつぶやく弥生ちゃん

「・・・ですって、お姉さま。この子まだやる気だもん、止めたら可哀想♪」

美奈子ちゃんの目に残酷な光が宿る

「か、かわもっちゃん!!」

神楽ちゃんが叫ぶけど

「それじゃ、さいかーい♪」

三度フェイスシットが再開される

「ーーーっ!!」

息を止めて動くのもやめて必死に堪える弥生ちゃん、すると

「このままじゃ面白くないかなぁ」

そう言ったかと思うと開いた手で弥生ちゃんの体を撫で始めた!

びくっと反応する弥生ちゃん

「み、美奈っそれは反則だっ」

怒る神楽ちゃん、

「え〜?こんな凹凸の無いペタン娘触っても面白くないですしー、それに変なトコは触ってないですよぉ」

失礼な抗議をする美奈子ちゃん。でも確かにただ漫然と撫でているだけ、といった感じではある

と、突然、ビクンっと弥生ちゃんが痙攣するかのように大きく跳ねた。

「な!?」

驚く神楽ちゃん

美奈子ちゃんの手は弥生ちゃんのお腹のあたりに置かれているだけだ

すると、ビク!!っとまた、電気が走ったかのように引きつる弥生ちゃん、な、何が起きてるんだ?

「・・・まさか、ミナっ」

神楽ちゃんが美奈子ちゃんの腕を掴むと引き起こす

「あーん、何するんですかお姉さまぁ」

神楽ちゃんに腕をひっぱられ弥生ちゃんから引き離される美奈子ちゃん

「・・・おまえコレ・・・」

美奈子ちゃんの手のひらを見つめる神楽ちゃん

「あーん見つかっちゃいましたぁ」

体をくねらせる美奈子ちゃん

「スタンガンか!」

「す、スタンガン?!」

神楽ちゃんの声にみんなが驚く

「スタンガンなんてそんな物騒な物じゃないですよぉ、そもそも超小型だから電圧もずーっと弱いしSM用の電気ショック装置みたいな?」

平然ととんでもない事言う美奈子ちゃん

「どっちにしても凶器だろっ!!」

怒る神楽ちゃんに

「あら、お言葉ですけど、あのガキンチョが怪我しないように手加減してあげただけですよ、あの状態からマウントで殴ったりする方がよっぽど危ないんだから」

内容は正しいかもしれないが全く悪びれる様子の無い美奈子ちゃん

「電圧調整レベルゲージだってあえて最低にしてあるからただ痛いだけでダメージだって残らないしぃ、それに例え最強レベルにしてもちょっとの間、動けなくなる程度の安全な物ですよ」

手袋の手首についているメモリを見せながら説明するどうやら手袋に直接仕込んであるらしい

「えーい御託は良い!!、没収だ」

凶器をとりあげようとする神楽ちゃん、でも手袋がきつくてうまく脱がせられない

「だいたい、お姉さまがちゃーんとボディチェックしてくれなから、こーいう事がおきるんですぅ!」

また、勝手な事を言い出す美奈子ちゃん。




14.レッスンの成果






「・・・そう、最強レベルでも一応安全なんだ・・・」

突然声が響いた

「っ!!」

美奈子ちゃんが振り返るより早く、背後からその腕をとって捻りあげたのは・・・弥生ちゃん!

「くああっ・・・」

肩を極められ前かがみにさせられ悲鳴をあげる美奈子ちゃんをよそに、その手に仕込まれた凶器をマジマジと眺める弥生ちゃん

「へぇ・・・こんなに小さいんだ・・・このスイッチが押し付けられると入るのね、それで・・・、調整ゲージは・・・ああ、これね」

チキチキと調整メモリを最大にする弥生ちゃん

「か、かわもっちゃん、何を・・・」

慌てる神楽ちゃんに対し

「え、何って・・・」

にぱー・・・と笑みを浮かべると、美奈子ちゃんの肩を極めたまま肘を曲げさせ、凶器の仕込まれた手のひらを腰にあてがわさせる弥生ちゃん

「ちょっ」

「や、やめ!」

青ざめる美奈子ちゃんを無視し手に力を込める弥生ちゃん


バチン

にぶい音とともに美奈子ちゃんの全身がひきつけを起こす

「かぁっ・・・・・・・!!!」

目を見開き視点の定まらない様子の美奈子ちゃん

「ふん・・・」

そんな様子を見ても顔色を変えずに更ににスイッチを入れる弥生ちゃん

バチン、カチ、カチ、カチ・・・

もう一回美奈子ちゃんの体が跳ねる

「何よ、もう電池切れなんだ」

詰まらなそうに弥生ちゃんが手を放すと、美奈子ちゃんはマットの上に崩れ落ちた

「か・・・かはっ・・・」

美奈子ちゃんはビクビクと痙攣しつつ口から涎をたれている

「か、かわもっちゃん・・・は、反則・・・」

神楽ちゃんが口をパクパクさせる

「え?・・・ああ、ごめんなさい、でも5秒以内ですから」

にぱーっと笑みを浮かべそう言うと、美奈子ちゃんの方に向きなおる弥生ちゃん

「涎まで垂れ流して無様ですね」

鼻で笑うと動けない美奈子ちゃんのお腹に、ニーストンプ!!

「げふぅっ!!」

鈍い悲鳴をあげのたうつ美奈子ちゃん

「えーとさっきの、レッスンだと、なんでしたっけ?最初は脚からでしたっけ、ねぇオネエサマ?」

そういうと弥生ちゃんは美奈子ちゃんの脚を取り体を返すとそのまま強烈な逆エビ固めで絞り上げる!

「くああああああああああ!!!!」

美奈子ちゃんの悲鳴があがる

「あれぇ片足ずつが正しいんでしたっけ?私間違ってますか?まぁどうでもいいですけど」

腰を落としつつギリギリと絞り上げる弥生ちゃん

「み、美奈、ギブか?」

神楽ちゃんが尋ねる

「くあああ、・・ああ、」

必死で耐えつつ首を横に振る美奈子ちゃん

「そうですよねぇこんな詰まらない技でギブアップなんてあり得ないって言ってましたもんねー」

更に美奈子ちゃんの体を絞り上げる弥生ちゃん。

「ああああああああっ」

美奈子ちゃんの悲鳴が一層大きくなる、これは・・・決まりか?

と、突然何故か自分から技を解いて立ち上がる弥生ちゃん

そしてコーナーまで歩いていってもたれかかると

「ホラ、遊んであげるから早く立ちなさいよ、オネエサマ」

そう言って挑発する弥生ちゃん。

どうやら弥生ちゃんはさっき美奈子ちゃんにやられた事をそのまま返してるようだ



「うぐぐ・・・このガキ!・・・ぶっ殺してやる!!」

ふらふらと立ち上がる美奈子ちゃん。

よろつきながらも弥生ちゃんに近づいていく

でもあれじゃヤラレに行くような物だろ・・・

フラフラと近づきながらリボンに手をやる美奈子ちゃん、ん?何だ?あ!あれは!

美奈子ちゃんの手に握られているのは正真正銘のスタンガン!?

「や、弥生ちゃんあぶっ」

「ケケーッ!!」

僕が声をあげる寸前に美奈子ちゃんが奇声をあげて弥生ちゃんに飛び掛った

ふらついて見せたのもまさか油断させる為の演技か!?



やられた!、そう思った思った瞬間

弥生ちゃんの回転後ろ蹴りがカウンターで美奈子ちゃんのお腹に突き刺さっていた!

「げうっ・・・」

お腹を抱え膝をつく美奈子ちゃん

「そんなの最初っからバレバレなのよ」

スタンガンを足で場外に蹴り出しながら弥生ちゃんが言う

上段から突き出されたスタンガンの攻撃を身を低くしてかわしつつリーチのある回転後ろ蹴りでカウンター

あえて距離をとったのも含め弥生ちゃんは最初から完璧に読んでいたんだね。

「くく・・・こぉ〜のガキがああああああああ!!」

痛みを怒りで飲み込んで立ち上がると美奈子ちゃんが腰に手を伸ばしながら、左のパンチ!!

それを右手で払う弥生ちゃん、空手の廻し受け!

そしてそのまま一歩右足を前に出し、

「ハッ!」

右正拳!空手の追い突き!!

「ぎゃぅ!!」

美奈子ちゃんの顔面にヒット!

「ううう・・・・」

よろける美奈子ちゃん

「今、軽く打ったんですよ?」

にぱ〜と笑顔の弥生ちゃん

「ああああ!!」

美奈子ちゃんが激昂しつかみかかる!

「フッ!」

弥生ちゃんは簡単にそれをかわすと、美奈子ちゃんが振り向くより先に後方から膝裏あたりにローを入れ動きを止める

「・・・っくぅう・・・がぁ!」

足をもつれさせながらも美奈子ちゃんがやみくもにバックナックルを放つ

それを冷静に捌くと、左手は左肩に右手は腰の位置にもっていく弥生ちゃん

「ハアアアア!!!」

そしてカメハメ波みたいにひねりを加えながら一直線突き出す!

狙い済ました弥生ちゃんの拳がガラ空きの美奈子ちゃんのボディに突き刺さった!

「・・・きゅ・・・は!!!」

声にならない悲鳴を上げ美奈子ちゃんはその場に崩れるように倒れた



「奥の手はもう無いみたいね・・・」

弥生ちゃんは倒れた美奈子ちゃんを乱暴にチェックするとそう言った

「じゃ、覚悟しなさい」

ドスの効いた声で言うと美奈子ちゃんの髪を掴んで顔をあげさせる

「こ、殺してやる・・・」

バシィッ!

まだ抵抗の意思を見せる美奈子ちゃんに、弥生ちゃんのビンタが炸裂した

「くうぅっ」

バシバシバシバシバシっ!!

更に容赦なくフルスイングのビンタが美奈子ちゃんを襲う

「ひっ・・・」

たまらず悲鳴をあげて顔を守ろうとする美奈子ちゃん

「ふーんまだ泣かないんだ・・・」

髪を掴んだまま美奈子ちゃんを引きずり起こす弥生ちゃん。

そして、

「せいっ、やっ!」

「くぅっ、あぐっ」

ローキックから胴への回し蹴りへのお手本のような連撃、そして

「ハッ!」

お腹を抱えて前のめりになった美奈子ちゃんの首筋にジャンピングかかと落とし!

「おおおおおおお」

華麗な足技で美奈子ちゃんを、土下座させるようにマットに叩き伏せた弥生ちゃんに場内から歓声があがる!

これは完全に決まりだね・・・ほっておけばKOだしフォールも返せないだろう




「ほらぁ何寝てんるんです?早く立ちなさい」

冷たい声で言い放つと完全にグロッキーの美奈子ちゃんを引きずり起こす弥生ちゃん

え?まだ続ける気?や、弥生ちゃん?

「か、かわもっちゃんもう・・・」

神楽ちゃんが止めようとするけど

「だってまだ、泣かしてないですから」

また、にぱーと笑みを浮かべる弥生ちゃん

あ、さっきからなんとなく感じてはいたけどなんというか・・・「ひぐらし○なく頃に」の「古○梨花」みたい・・・


弥生ちゃんは足元すら定まらない様子の美奈子ちゃんを押さえつけると背後から足を引っ掛ける。

これは・・・コブラツイスト!!

ぎりぎりと美奈子ちゃんの体を絞り上げる弥生ちゃん

「くああああっ」

悲鳴をあげる美奈子ちゃん、シュートな技では無いにしても体力の残ってない美奈子ちゃんにはキツイだろう

「美奈、ギブか?」

神楽ちゃんが顔を覗き込んで確認する

「の・・・ノーっ」

美奈子ちゃんが絶叫する

「ふふん」

そういうと弥生ちゃんは美奈子ちゃんの頭を手で押し下げるとわき腹に肘をあてがいグリグリとねじりこむ!ご、拷問コブラ?!

「あああああっ」

美奈子ちゃんの悲鳴がより大きくなる

「ホラぁ泣いてあやまんなさいよっ、なんていうんだっけ?ほらあ!」

美奈子ちゃんを痛めつけながら叫ぶ弥生ちゃん。ハッキリ言って怖い

「ほらぁ、惨めったらしく泣いて見せなさいっていってんのよ!」

まさに拷問だ・・・

「美奈・・・ギブしろ、な?」

神楽ちゃんが心配そうに聞く

「うああ・・・・ああ・・・」

必死に耐えつつイヤイヤと頭を振る美奈子ちゃん

「へえぇーそう・・・バカね・・・」

サディスティックな笑みを浮かべると、そのまま美奈子ちゃんをリングに倒しこむ弥生ちゃん

「これでどうよっ」

これは・・・ツイスター!?、あのグレイシーからタップを取ったエディ・ブラボーの必殺技ツイスターだっ!

柔術のマットで猛威を振るったプロレス技・・・グラウンドコブラツイスト!

3種のコブラが執拗に獲物を追い詰め絞め殺す・・・トリニティバイパーとでも呼ぶべきか・・・

「あああああっ!!!」

絶望的な美奈子ちゃんの悲鳴を無視し渾身の力で締め上げる弥生ちゃん、何が何でも泣かす気みたいだ・・・

「あああっ・・・ああ・・あっ・・・・」

「ほらぁ、どうしたのよ、誰が誰を躾けるんですって?」

美奈子ちゃんの胴体を捩じ切るようにに締め上げる弥生ちゃん

「ひぐっ・・・うああ・・あああっく」




・・・・・・あっくあ、あ、うああああああああん」

とうとう美奈子ちゃんの悲鳴が鳴き声に変わった


15.黒弥生サマ



「も、もう終わりだ、かわもっちゃん」

みかねた神楽ちゃんが割って入って止めて、ようやく弥生ちゃんは美奈子ちゃんを放した

「ひっ・・・うう・・・うあああああああん」

あまりの事に静まり返る場内に丸まって肩を押さえながらすすり泣くする美奈子ちゃんの声が響く

「えーとじゃあ・・・」

弥生ちゃんの勝利を宣言しようと神楽ちゃんが弥生ちゃんの手をとろうとすると

「まだ、終わってませんよ、だってまだ泣かしただけでフォールもギブアップもさせてませんから」

そう言って神楽ちゃんを押しのけると美奈子ちゃんに向かう弥生ちゃん

「ひっくひっく・・ひ!?、ぎ、ぎぶ・・ひうっ!」

弥生ちゃんは異変に気付き慌ててギブしようとする美奈子ちゃんを蹴り飛ばして圧し掛かると・・・・・顔の上に座りこんだ!!!

「!!!」

弥生ちゃんの行動に驚くみんなをよそに美奈子ちゃんを組み伏せしっかりと押さえ込む弥生ちゃん

美奈子ちゃんがやって見せたように腕をとって肩を付けさせずフォールにならないようにしている

「んんーーーーーっっうむーーーーーー」

口と鼻を塞がれ息ができずにもがく美奈子ちゃん

「さーてと、躾けの続きはなんでしたっけ?あっ・・・んっ・・・暴れるんじゃないわよっ」

少しはねるようして美奈子ちゃんの顔を押しつぶすとしっかり体重をかける弥生ちゃん。じたばたと美奈子ちゃんはもがいてるけど、弥生ちゃんのお尻の圧力からは到底逃れられそうも無い

「うむぅーーーーーーーーーーーっ!!!」

息が出来ないくぐもった美奈子ちゃんの悲鳴が聞こえてくるけど弥生ちゃんは全く取り合わない

「・・・私が聞きたいのは、ギブアップなんて詰まんない言葉じゃなくて、ちゃんとした反省の言葉ですし、なんて言えば良いかは当然わかってますよねぇ」

薄い笑みを浮かべながら、組み伏せた美奈子ちゃんを問いただす弥生ちゃん。

完全にさっきと逆のパターンだ

「わかりましたかぁ?」

もがく美奈子ちゃんがうなずいたように見えた、

「それじゃ・・はい、どうぞ」

腰を少し浮かせ、美奈子ちゃんに息をさせる弥生ちゃん

「げほっげほげほげほ・・・」

咳き込む美奈子ちゃん

「ホラ、早く」

美奈子ちゃんを見下ろす弥生ちゃん

「ぎ、ぎぶあっむぅっ・・・!!」

言い終わる前に、どんっと弥生ちゃんが美奈子ちゃんの顔に座り込んだ

「何?今の?不意打ちでギブアップしちゃおうって?私を馬鹿にしてるの?ねぇ?まだ懲りてないの?ねぇ!」

腰を容赦なくグラインドさせ、美奈子ちゃんに体重をかける弥生ちゃん

「うむぅっ・・・んむぅーーーーーーー!!!」

弥生ちゃんのお尻に押しつぶされて悲痛な悲鳴をあげる美奈子ちゃん。何とか逃れようと身を捩ってもがいているけど弥生ちゃんはガッチリ押さえ込んでビクともしない。

「ほらなんとか言いなさいよ、ほらぁ」

お尻の下に組み伏せたまま声が出せる筈の無い美奈子ちゃんのボディにゆっくりとパンチを落としはじめる弥生ちゃん

ドス!ドスッ!ドスッ!

「っ・・・んぐっ・・・・ぐっ・・・ひうっ・・・」

弥生ちゃんのパンチが突き刺さるたびに、小さく身をこわばらせくぐもった悲鳴をあげる美奈子ちゃん。まさに鬼の責めだ・・・

「今度そんなマネしたら許さないわよ?」

弱弱しい悲鳴をあげるだけになってきた美奈子ちゃんの様子を確認すると冷たい声で言い放つ弥生ちゃん。そのお尻の下で、こくこくと必死でうなずく美奈子ちゃん

「今度ふざけたマネをしたら逆さに吊ってサンドバックにするわよ?わかってるわね?」

さらに念を押す弥生ちゃん、美奈子ちゃんは必死に何度もうなずいてる。

はじめてみる弥生ちゃんの女王様モード・・・・・黒弥生というべきかな・・・・・

「いいわね?これが最後のチャンスよ・・・」

そういうと、腰を浮かせる

「がふっ・・・ふはっふっふはふは・・・」

涙で顔をベトベトにして息も絶え絶えの美奈子ちゃん

バシバシッ!!

美奈子ちゃんの頬を往復で張り飛ばすやよいちゃん

「ホラ、早く言いなさいよ」

弥生ちゃんの冷たい声が響く

「うぁ・・・逆らってごめんなさい、あ、あたしが・・・バかでした・・・ゆるしてくださぃ・・・」

嗚咽しながら、自分が言わせようとしていた反省の台詞を言わされる美奈子ちゃん

「ん、よろしい」

弥生ちゃんは満足げにそういうとまた美奈子ちゃんの顔にどっかりと座りんだ!

「んんーーーーーーっっ」

もがく美奈子ちゃんにまたも容赦なく体重をかける弥生ちゃん

「ちょっかわもっちゃん!!」

あまりの事に神楽ちゃんが詰め寄ると

「え〜?何ですか?・・・どうかしました?」

美奈子ちゃんをねじ伏せたまま、答える弥生ちゃん

「何って・・・今ミナ謝ったじゃないか!もう許してやんなよ!」

もがく美奈子ちゃんを見かねて神楽ちゃんが言うと

「・・・・え〜?」

弥生ちゃんはトボケタように首をかしげて言ってる事が良くわからないといった風の気の抜けたような返事を返す

「え〜、じゃなくてっ!」

神楽ちゃんが怒ったような声を出す、自分もされた事だから辛さがわかるのかも・・・

美奈子ちゃんはもう完全に抵抗する力を無くしぐったりしてる・・・

「えーと・・・そう私に言われても・・・ほら、だからフォールです」

さらりと言い放つ弥生ちゃん、みると確かに腕を放してるからさっきまでと違って肩がマットについてる

「え、あ・・・?」

「カウント・・・お願いします」

戸惑う神楽ちゃんにゆっくりとした口調でそう告げる弥生ちゃん

「え?ああ・・・そか、そだな、うん。」

状況を把握した神楽ちゃんは慌ててマットに伏せるとカウント体制を取る

「ワン・ツー・スリー!!」

神楽ちゃんのせめてもの情けか、かなり早めのスリーカウントが入った




川元弥生
(23分41秒  美奈子?スペシァル6=ミンストリール)
(トリニティバイパー )

四条美奈子×




16.変わる物と変わらない物と




カンカンカンカン!!


「・・・ふん」

カウントが入りゴングが鳴ってようやく弥生ちゃんは美奈子ちゃんを解放して立ち上がった

美奈子ちゃんはぐったりとして動かない

「おい、ミナ大丈夫か!?」

神楽ちゃんが慌てて美奈子ちゃんを抱き起こす

「・・・い!息してない!」

青ざめた声をあげる神楽ちゃん、場内に緊張が走る

もしかして・・・・・美奈子ちゃん・・・・・・・死んじゃった?

「・・・ううぅ、・・・えーいままよ!」

決心したような声を上げると神楽ちゃんはそのまま美奈子ちゃんにガバと覆いかぶさると唇に口をつける

王子様のキス・・・じゃなかった人工呼吸だ

しっかりと唇を合わせ2度強く息を吹き込む神楽ちゃん・・・と

「げほっ・・・げほげほげほげほっ!!」

美奈子ちゃんがむせる様に息を吹き返した

「ふう・・・」

神楽ちゃんが額の汗をぬぐい場内に安堵の空気が流れる

「・・・でも背中叩けば良かったんじゃないの?」

流花が小声で聞いてくる。うーん確かにそうかも・・・

もっとも何かあっても、奈々子さんに任せれば大丈夫だろうけど・・・・・

「ミナ・・・大丈夫か?」

ある程度落ち着いてきた美奈子ちゃんの顔を覗き込んでもう一度尋ねる神楽ちゃん

「・・・うう・・・」

「どした?どっか痛めたのか?」

心配そうに尋ねる神楽ちゃん

「うぅ・・う・・・・うあああああん」

美奈子ちゃんは神楽ちゃんに抱きつくと大声で泣き出した

「うわっ!ちょ!」

普段の事もあってか慌てて振りほどいて逃げようとする神楽ちゃん、でも

「うわぁああああああああん・・・」

しっかり抱きついて神楽ちゃんの胸に顔を埋めたままただただ号泣する美奈子ちゃん、流石にいつもとはちょっと様子がちがう

さすがにショックだったみたいだね、まあ〜ぼくは同情しないけど

「・・・まったく・・・あーよしよし、泣くなよもう」

そんな様子を見てか神楽ちゃんは溜息をついて美奈子ちゃんの頭を抱くと慰めの言葉をかけあげてる。

あんな目に合わされた相手なのに神楽ちゃんも人が良いというか何と言うか・・・逆にその心境は良くわかるからかな?

まあ美奈子ちゃんには良い薬だったかもね



「おまえもこれに懲りてもう悪さはするなよな?」

ようやく落ち着いてきた美奈子ちゃんの頭を撫でながら神楽ちゃんが諭すと

「・・・うう〜あいつキライ〜・・・」

えぐえぐと涙をすすり上げながら答える美奈子ちゃん、と

「何ですか?まだ何か文句あるのかしら?」

それを聞きつけてリングから降りようとしていた弥生ちゃんが踵をかえして戻ってきた

「・・・ひっ・・・な、何でもないですぅ・・・」

美奈子ちゃんはすっかりおびえた声を出して神楽ちゃんの陰に隠れて小さくなって震えている

「まぁまあ、かわもっちゃんも、ミナも反省してるし、もう試合は終わったんだからさ」

美奈子ちゃんをかばいつつ弥生ちゃんをなだめる神楽ちゃん

「反省?ほんとかしら?」

そう言うと弥生ちゃんは神楽ちゃんの陰に隠れた美奈子ちゃんをジロリと睨む

神楽ちゃんを挟んで反対側に隠れつつもコクコクと頷く美奈子ちゃん

「ふん・・・だったら今回だけは良しとしますけど、次はないですよ」

弥生ちゃんは冷たくそう言い残すとロープをまたいでリングを降りるとパタパタとこちらにやってきた

ぱあっといつもの笑顔に戻る弥生ちゃん

「お兄さん!流花ちゃん私やりました!!」

ぼくの隣にいた流花へと駆け寄ってくる

いや、手を広げて抱きつくもりかな

「あ、ああ、おめでとう」

「よ、良かったね弥生ちゃん」

僕も、流花もどもりながらぎこちなく答えつつも、流花が両手を広げる

そして・・・・・・・・

「え?」

「おにいさーーーん!!」

弥生ちゃんは流花をよけて、ぼくに飛びついてきた

「はい?・・・・・・」

「お兄さんのおかげで勝てました!!」

ギュッと抱きつく弥生ちゃん

「ああ・・・・よ、よくやったね弥生ちゃん」

う〜んぼくは何もしてないと思うんだけど・・・

唖然とする流花を横目に、とりあえず弥生ちゃんの頭を撫でてあげる

でも・・・・・・・・・・こうなると、次の展開は・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ぼくは、恐る恐る周りを見るけど・・・・・・・・皆引きつった様なギコチナイ笑顔を浮かべているだけだった

もしかしなくても、さっきの弥生ちゃんにちょっとビビッてる感じかな?・・・・・・まぁぼくもだけどね・・・・・・

「えへへ」

「はは・・・ははは」

「う、うん、すごい、すごい」

「よ、良かったね弥生ちゃん」

照れる弥生ちゃんに賞賛の声をかけてるけど、どうにも乾いた笑いが顔に貼り付いて取れてない

美奈子ちゃんの自業自得とはいえ・・・正直弥生ちゃんがあんな形で勝つあんて思ってもみなかったから・・・

なんというかまぁとりあえずこれから弥生ちゃんは怒らせないように気をつけよう・・・

「お兄さん、私ぜったい優勝します! そうしたら、お兄さんとベルトを賭けてやりましょうね♪」

そう言いながら、ぼくの胸に頬ずりする弥生ちゃん



ふと向こうを見るとリングから降りた後も神楽ちゃんにぴったり貼り付いてる美奈子ちゃんの姿が。まだ泣いてるのかな?

神楽ちゃんの膝の上に乗っかって胸に顔を埋めてすりすりしてるけど・・・って、

あ・・・

・・・神楽ちゃんはまだ気づいて無いみたいだけど美奈子ちゃんの顔は既に至福のヘブン顔になってる・・・ヨダレ出てるし・・・

美奈子ちゃんには良い薬になったのかもと思ってたけど、懲りないというか転んでも只では起きないというか・・・

結局神楽ちゃんが美奈子ちゃんに付きまとわれる事自体になんら変わりは無いんだろうなー・・・



とにもかくにもこれで弥生ちゃんがAブロックを制し一足先にファイナリストの切符を獲得!決勝戦にコマを進めた訳で。

さて次は対するBブロック、

弥生ちゃんとSYURAの新女王の座を争う事になるのは女王を自称する正ヒロインの綾乃ちゃんか彗星の如く現れたトリックスターのネコ少女か!

次回SWGP準決勝第2試合もますます目が離せない、カツモクして待て!

といった所で次回に続きます
















 


〜つづく〜


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